何だか、ゲーム「ドラゴンクエスト」の音楽が流れてきそうな行進だ。6月下旬の真夜中の都内で、仕事を終えて縦一列に並んで帰ったのは、女性お笑いトリオの「3時のヒロイン」。2019年年末に、最もおもしろい女性お笑い芸人を決める「女芸人No.1決定戦 THE W」で初優勝して、一躍人気者になった3人は隊列を一切乱すことなく歩き、闇夜に消えていった。
白いTシャツにグリーンのロングスカートで真ん中を歩くのが、リーダーでツッコミの福田麻貴(32才)。女性シンガーソングライターあいみょん似ともいわれている。最後列でピンクのド派手なオーバーオール姿で歩くのが、ゆめっち(26才)。大阪NSC(吉本総合芸能学院)に入学した19才当時は、体重49kgでモテモテだったという。今はふくよかな体型を生かして、ボケを担当中。
そして、先頭をかっ歩するのは、コントの中では体型からは想像しがたいキレキレのダンスで爆笑させる、かなで(29才)。元女優で、秋葉原の「ムチぽちゃメイドカフェ Shangrila」という、ぽっちゃりメイドが集まるカフェでも働いていた異色な経歴のボケ担当だ。
3時のヒロインは、「THE W」で初優勝した同時期に注目を集めた女性芸人4人組「ぼる塾」(1人が育児休暇中)とともに、昨年からテレビバラエティーを席巻している。
そんな3時のヒロインは今年、現代のお笑い界に一石を投じる行動にも出た。4月にリーダー福田がツイッターで「私達は容姿に言及するネタを捨てることにしました!」と宣言。その後の「ワイドナショー」(フジテレビ系)では、大御所のダウンタウン松本人志(57才)の前で「まさかこんな騒ぎになるとは思わなかった」と恐縮しながらも、「容姿をイジるネタは、劇場でもどんどんウケなくなっているのを感じていました。もう容姿イジりは大衆的ではないんです」と理由を説明した。
あるテレビ局のバラエティー番組制作者は「急激に人気を得た中で、一発屋で終わらないためにと、いろんな意味で悩み葛藤して笑いを追求しているがゆえの決断と発言だったのかと思います」と慮った。