コロナ禍で1年延期となった東京五輪が7月23日に開幕する。メダル候補のアスリートたちは、どんな心境で本番を待っているのか。空手・女子形の清水希容(27才)はこう語る。
「ず~~~っと追い求めてきた夢の舞台……これまで、つらいこともたくさんありました。コロナ禍で思うような練習ができず、気持ちが揺れたこともありました。でも、悔しさも、流した涙も、すべては、この日……8月5日のためにあったと思いたい。そのためにも、心技体ともに、最高の状態で本番を迎えられるように、いまは、残された一日一日を大事に過ごしています。最後は笑って終わりたい…いや、笑って、終わらせます」
日本のお家芸・柔道でメダルを目指す渡名喜風南(25才)は、決死の覚悟で本番に臨む。
「試合は、意地と意地、本気と本気のぶつかり合い。でも、試合前は礼で始まり、試合後は握手してお互いを称え合う──このギャップが柔道の魅力です。好きな言葉は、『死ぬこと以外かすり傷』と『感謝』。コロナ禍でも、柔道と向き合う気持ちに揺らぎはありませんでしたが、厳しい環境の中で、ますます『感謝』の気持ちが強くなってきました。いまの気持ちは、とうとう来たなという感じ。戦うための覚悟と準備はできています」
ウエイトリフティング女子55kg級の八木かなえ(28才)は、3度目の五輪出場となる。目標はもちろんメダル獲得だ。
「選手に与えられた時間は、名前を呼ばれてから1分。壇上に上がり、頭の中に成功するイメージを思い描きます。『挙がる』『私ならできる』。心の中でつぶやきながら、筋肉の一本一本が緊張に包まれ、爆発する瞬間を待っている……そのわずか1分が、ウエイトリフティングの醍醐味です。コロナ禍で苦しい時期もありましたが、本番では楽しむことを忘れず、1kgでもいい記録、ひとつでも上の順位を目指して、いまできることを精一杯、頑張ります」
【プロフィール】
清水希容(しみず・きよう)/1993年12月7日生まれ、大阪府出身。ミキハウス所属。小学3年生のときに空手を始め、2013年の全日本選手権で初優勝。以来7連覇を成し遂げ、“絶対女王”と呼ばれる。蹴りや突きなどの力強い動きに加え、流れるように美しい演武が、世界を魅了する。160cm、57kg。
渡名喜風南(となき・ふうな)/1995年8月1日生まれ、神奈川県出身。パーク24所属。9才から柔道を始め、初出場となった2017年の世界選手権で優勝。2018年、2019年のグランドスラム大阪大会を連覇し、東京2020の切符を獲得。負けん気の強さと多彩な技で、頂点を目指して突き進む。148cm、48kg。
八木かなえ(やぎ・かなえ)/1992年7月16日生まれ、兵庫県出身。ALSOK所属。高校から始めたウエイトリフティングで高校選手権を3連覇。五輪はロンドン(12位)、リオ(6位入賞)に続く3度目の出場。笑顔でバーベルを挙げる“かなえスマイル”で、悔いのない試技を目指す。153cm、53kg。
撮影/中村功
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号