2日間での売り上げは至上最高額となる225億円。今年もセレクトセールは盛況だった。競馬ライターの東田和美氏がレポートする。
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7月12、13日に行なわれた今年のセレクトセールは、ディープインパクト産駒がわずかに4頭、キングカメハメハ産駒はゼロ、さらにハーツクライ当歳も3頭のみという状況にもかかわらず、新たなスターオーナーの登場もあって落札総額が史上最高となった。ノーザンファームの上場馬は種牡馬を問わずセリは白熱し、「1強」はさらに確固としたものになった。
かつては落札価格が1億円を超えるたびに場内で拍手が起きたものだが、いまや「またか」というぐらい当たり前になった。社台グループのクラブによる1歳馬募集はすでに終わっているが、その価格がリーズナブルだと思えてしまうぐらい。会員としては、来年の募集価格に影響を与えないでほしいことを祈るばかりだ。
今年の特色は高額落札馬の種牡馬が多彩だったこと。1歳馬で1億円を超えたのは28頭いたが、種牡馬も16頭、当歳市場の億越えも24頭で種牡馬数は12頭にのぼった。
ここ10年ほどは「ディープインパクト産駒」が目玉で、昨年の1歳市場では億越え18頭のうち9頭がディープインパクト産駒で、種牡馬の数は6頭にすぎなかった。当歳市場にしても、ディープの代わりをハーツクライが穴埋めした格好で、種牡馬数はやはり6頭だけ。2018年の1歳市場では23頭の億越えが出たが、その時も種牡馬数はわずか7頭だ。
今年はこれまで比較的地味だったルーラーシップやダイワメジャー、バゴやシルバーステートなど社台スタリオン以外の種牡馬産駒にも高値が付いた。
今年上場された“最後のディープ産駒”4頭のうち、社台グループが送り出した3頭は当然のようにすべて億越え。息子たちはといえば、億越えはキズナが5頭、サトノダイヤモンドが4頭で、あとはサトノアラジン、リアルスティール、シルバーステートに、“逆輸入”のサクソンウォリアーと計13頭。しかし6頭の息子のうち3頭の産駒はまだデビュー前。種牡馬成績によるものではなく、先物買いといった様相だ。
後継種牡馬の地位を早々と固めるはずだったダービー馬ディープブリランテや天皇賞馬スピルバーグは今年のセレクトセールには上場馬がなく脱落模様。リアルインパクト、ミッキーアイルなどもワンパンチ足りないためか、落札額はもうひとつ伸びておらず、ディーマジェスティやヴァンキッシュラン産駒は上場すらない。