メジャーリーグの前半戦だけで33本のホームランを放ち、オールスターゲームでも二刀流を実現。いま、野球界でもっとも注目される大谷翔平(27才)だが、その野球人生は決して順調なことばかりではなかった。2017年には左太腿の故障に悩まされ、メジャー入り後も1年目のオフに右ひじを手術、2年目に左ひざを手術、3年目の2020年もコロナの影響でリハビリの途中で公式戦に入り、思うようなシーズンを過ごせなかった。
しかし、「悪い時にどうするかが一番大事」と語る大谷。こういった思考法について、『子育てベスト100』の著者で教育ジャーナリストの加藤紀子さんはいう。
「これは、発達心理学の世界的な権威であるスタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授が提唱した『グロースマインドセット』というもので、壁にぶつかったときにそれを挑戦や学びとして肯定的に受け止め、困難にも立ち向かえるしなやかな心を指します。
近年はビジネス界でも注目されており、“激変する世界の中で生き残るには、社内の人材にグロースマインドセットを浸透させることが最も重要”といわれています。失敗を恐れたり、困難にひるんだりすることなく、大舞台で伸び伸びとプレーする大谷選手は、典型的なグロースマインドセットの持ち主です」
こういった前向きな考え方を生んだ家庭環境は、いったいどのようなものだったのか。
「お父さんの徹さんは社会人野球の選手で、お母さんの加代子さんはバドミントンの選手。お兄ちゃんも野球が上手で、もともと身体能力に恵まれているおうちなんです。翔平くんも落ち着きのあるいい子だったけれど、まさか、これほど活躍するとは‥……」
そう語るのは、大谷の幼少期を知る、実家の近隣住民だ。大谷が18才まで過ごしたのは岩手県水沢市。積雪量が少なく、冬でも比較的暖かい穏やかな気候の土地だ。
「お母さんが健康管理に気を使っていたのが印象的でした。特に食べ物は、自分も運動をしていたからか、市販のお総菜を並べることはなく、いつも手作りでした。スポーツ一家でみんな体が大きいから、ギョーザは10人前以上を手作りしていて、『ギョーザの日は大変なの』とお母さんが笑っていたのを覚えています」(近隣住民)