芸能

高田文夫氏が語る 都会っ子の文化を牽引したポップカルチャーの巨人

戦後日本のポップカルチャーを生んだ「三木鶏郎(トリロー)」

戦後日本のポップカルチャーを生んだ「三木鶏郎(トリロー)」

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、1956年から1961年にニッポン放送で放送されたラジオ番組「トリロー・サンドイッチ」の音源がみつかった三木鶏郎さんについてつづる。

 * * *
「三木鶏郎(トリロー)」ときいて「ああ、あの人」とすぐに分かるのは60代、70代の人達だろう。戦後日本のポップカルチャーを生み出し創った巨人である。

 私が学生時代せっせとネタのハガキを送っていたのが永六輔。よくラジオで読まれ、謝金のようなものももらっていた。その永六輔が子供の頃(相当古い話だ)、人気番組・NHKの『日曜娯楽版』にいつも社会風刺のコントなどを投稿し、三木トリローから誉められていた。中学時代から採用されていたというから相当の才能だ。高校から大学時代など「放送作家」として堂々とNHKに出入りしていたというから早熟の天才だ。

 トリローは「冗談工房」という集団を作り、クリエイター達を集め、NHKから新しく出来た民放へとどんどん仕事を広げていった。門下生には〈作家部門〉で永六輔、神吉拓郎、野坂昭如、伊藤アキラ、キノ・トール、能見正比古、五木寛之ら。

〈作曲部門〉で神津善行、いずみたく、桜井順、CMソング等歌う〈歌手部門〉に楠トシエ、中村メイ子、〈俳優部門〉には三木のり平、千葉信男、丹下キヨ子、小野田勇、河井坊茶、〈鶏郎楽団〉がジョージ川口、小野満、鈴木章治と、キラキラして胸躍るクリエイティブなアーティスト集団である。

 CMソングはきけばすぐに分かる耳になじんだものばかり。「ワ・ワ・ワ輪が三ツ」「明るいナショナル」「ジン・ジン・仁丹ジンタカタッタッタタ」「うちじゅうでみんなキリン、キリン」「アスパラでやりぬこう」「クシャミ3回、ルル3錠」膨大な量の作品が残っている。作曲家として、コピーライターとして放送におけるコント作家の元祖として大嫌いな戦争が終わってパッと自由に花開いた都会っ子の洗練された文化なのだ。

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン