誰もが知っている国民的ヒーロー『仮面ライダー』。1971年4月3日に放送が始まり、今年で50周年を迎えた。現在も変わらぬ人気で、テレビシリーズ32作目となる『仮面ライダーセイバー』(毎週日曜9時~・テレビ朝日系)が放送中だ。
2000年放送の『仮面ライタークウガ』以降は、“平成仮面ライダー”と呼ばれ、より人間味あふれる物語で老若男女のファンを獲得。多くの人気俳優を輩出することとなった。
平成仮面ライダー第2弾として制作された『仮面ライダーアギト』は、平均視聴率11.7%で歴代1位。その作品で、仮面ライダーアギト/津上翔一を演じたのが賀集利樹(42才)だ。賀集に当時を振り返ってもらった。
* * *
芸能界に入って初めて受けたオーディションが『仮面ライダーアギト』です。これが本格的な演技に挑戦した初めての作品。当時はまだ上京したてで右も左もわからない中で受けて合格したので、とにかく無我夢中でした。
『アギト』を撮っていた頃は、『クウガ』が終わったばかりで、まだ手探りの状態。次のシリーズが作られるかどうかもわからず、もし、これで視聴率が悪ければ、ぼくらの代で『仮面ライダー』は終わっていたかもしれません。それくらい重圧のかかった作品でした。
でも、ドラマとしてはよくできた作品で、放送が始まると視聴率もよかった。イベントで握手会をすると、子供連れのお父さんやお母さんから、「いつも楽しく見ています!」と声をかけてもらってうれしかったですね。明らかに「ご両親の方がファンなんだな」と、肌で感じることもよくありました。
ただ、『アギト』が終わってからもそのイメージが抜けず、どこへ行っても「アギトだ!」と言われたので、反発心を抱いたこともありました。
「ぼくは仮面ライダーじゃない、役者なのに……」と、ずっと葛藤し、自分の中の“アギト”と闘っていました。
でも、30才を過ぎた頃から、「これだけ長く愛されている作品が、自分の代表作と見てもらえるのは役者冥利につきると、ありがたく思えるようになりました。
このシリーズが長く愛される理由の1つは、平成になってヒーロー像が変わったことだと思います。それまでは、ヒーローといえば無敵で雲の上の存在でしたが、ぼくが演じた津上翔一は明るく家庭菜園をするようなキャラクター。隣にいそうなお兄さん的な存在で親しみやすかった。
それが、見ている人の共感を呼び、愛されるドラマになったのだと思います。