芸能

桑田佳祐、井上陽水… 大物アーティストの転換期になった1990年

aa

サザンオールスターズ・桑田佳祐。1978年のメジャーデビュー以来、ヒット曲を連発している

 日本のミュージックシーンを語るのに避けて通れないのが、1990年代初頭だ。CDが普及し、カラオケ文化が浸透、ミリオンヒット連発で、音楽業界史上空前のCDバブル期に突入した。

 特に1990年は人気バンドや大物アーティストにも転機が訪れ、さらなる成長を遂げる分岐点となった年である。

 それを象徴するヒット曲が、サザンオールスターズの『真夏の果実』だ。音楽評論家の萩原健太さんが語る。

「桑田佳祐とは古くからの友人で、アマチュアバンド時代、一緒にギターをやってた時期もあります。でも、彼を見てミュージシャンを諦めて出版社に就職し、その後、大瀧詠一という人に会って、また音楽をやろう!と会社をやめたんです(笑い)。

 デビュー当時のサザンは、面白いところだけピックアップされることの多い“異端”な面があったかもしれません。

 しかし、桑田が監督した映画『稲村ジェーン』のサウンドトラックアルバムは、桑田佳祐というミュージシャンの成長を本当に思い知らせた傑作で、主題歌の『真夏の果実』はサザンがその後も活動を継続する上でとても重要な一曲だったと思います。ちょっと大人で、聴いてる人を泣かせる、その後のサザンを象徴する曲ですね」

『稲村ジェーン』を出張先の新潟で見た思い出があるという音楽評論家のスージー鈴木さんも、同様の指摘をする。

「桑田佳祐って人が1980年代の青山学院大学のアマチュアバンドのりでいけるところまで行って活動休止して、小林武史という桑田佳祐の音作りを具現化するパートナーを得て、ひと皮むけた転機の曲だと思います。

 デジタルなのにすごくセンチメンタルなイントロは、桑田&小林の所業という感じ。青臭かった感のあるサザンオールスターズが、時代のど真ん中で1億人を相手にメガセールスする“メガサザン”になるきっかけとなった名曲だと思いますね」(スージーさん)

 もう1曲、1990年のヒットチャートで上位に食い込んでいたのが、ザ・ブルーハーツの『情熱の薔薇』だ。

「当時のヒットランキングの中で、『情熱の薔薇』という曲は異質な存在です。

 ストレートでわかりやすい『リンダ リンダ』『人にやさしく』『TRAIN-TRAIN』と違って、『情熱の薔薇』は歌詞が硬派で深みや奥行きがある。“文学的なブルーハーツ”が出てきた作品と言えます。

 賑やかなカラオケボックスでみんなが乱痴気騒ぎしている中、ちょっと別世界で孤立無援のマウンドに立っている名曲という気がしますね」(スージーさん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2025.1.5/ジュンク堂 三宮駅前店。阪神・淡路大震災を機に書店の使命に気づいたと語る工藤恭孝さん。震災後、ジュンク堂書店は地方出店を積極的に進めた
ジュンク堂書店創業者が語る「被災地に本屋は必要だった」 震災から1か月経たずに営業再開「リュックを背負ったたくさんの人たちが列を作っていた」【阪神・淡路大震災から30年】
週刊ポスト
阪神大震災で行方不明者を捜索する自衛隊員(時事通信)
【阪神・淡路大震災から30年】当時の雑誌が報じた「クラッシュ・シンドローム」のリアル「尿はコーラのように褐色」「懸命なリハビリ」
NEWSポストセブン
79年から続く茶販売店「味萬」を営む伊東正和さん(撮影:加藤慶)
【阪神・淡路大震災から30年】神戸市長田区で復興に尽力した商店街元理事長「今だからこそ伝えたいこと」
NEWSポストセブン
語り部を続ける米山正幸さん(撮影:加藤慶)
「経験がなくても記憶は伝えられる」娘とともに「語り部活動」を続ける北淡震災記念公園・総支配人の“ブレないポリシー”【阪神・淡路大震災から30年】
NEWSポストセブン
中居正広“深刻トラブル”被害者X子さんが心の内を明かした(時事通信フォト)
《スクープ証言》中居正広“深刻トラブル”被害者X子さんが口を開いた「9000万円ものお金はもらってません」、フジテレビに対しては「諦めの気持ちが強い」
週刊ポスト
3場所ぶりの出場に踏み切った横綱・照ノ富士だったが…(時事通信フォト)
現役引退の横綱・照ノ富士、進退の土俵際でこだわった「最後の大仕事」 次の横綱候補への思い
週刊ポスト
テレビ局に手のひら返しをされる中居正広
中居正広、謝罪文で変わった潮目 テレビ局は沈黙から一転“切り捨て”モード、“育ての親”女性社長も距離を置き、香取慎吾も“手のひら返し”
女性セブン
趣味を通じて出会った“美女”とデートをしていたSnow Man向井康二
Snow Man向井康二、YouTube登録16万人超え“ゴルフタレント”と名門コースでラウンドデート お相手は「大勢いるゴルフ仲間の1人」と交友認める
女性セブン
犯行後、田村瑠奈被告がホテルのフロントに“お願い”した電話の内容とは(右/ホテルの公式サイトより)
《頭部のない全裸の遺体が土下座のように折りたたまれ…》犯行後、田村瑠奈被告がホテルのフロントに“お願い”した電話の内容【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
年末の夜に地元の藤沢で仲間と忘年会をしていた中居正広
渦中の中居正広が地元藤沢で仲間と忘年会「浴びるように飲んで悪酔いしていた」 活動再開は“絶望視”、強気な声明文は引退への“工作”か
女性セブン
松竹芸能からの退社を発表した濱口優(時事通信フォト)
よゐこ濱口優、松竹退社の裏にパワハラか「スタッフの前で罵倒」「不機嫌になって無視」などでマネジャーが次々交代 「結婚後により態度が悪くなった」の指摘も
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広「トラブル女性」告白スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広「トラブル女性」告白スクープほか
NEWSポストセブン