国内

SNSで無数に存在する「現金プレゼント」 その目的と騙しの手口を解説

SNSで「お金をプレゼント」。呼びかけ側の本当の目的は?(イメージ)

SNSで「お金をプレゼント」。呼びかけ側の本当の目的は?(イメージ)

 タダより高いものはないという言葉がある。無料で何かをもらうと、代わりに何かを頼まれたり、お礼が必要になったり、かえって高くつくということを言っているのだが、その理由まではよく考えなくても、見ず知らずの人がタダで何かをプレゼントするということに注意を払う上では有効な言葉だっただろう。ところが、最近はタダなら何でも大歓迎と、何の警戒心も抱かずにみずから近寄る人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、SNSで定番となりつつある「現金プレゼント」などを実施している人たちの目的と真意をレポートする。

 * * *
「現金プレゼントなんて、普通に考えればありえないこと。にもかかわらず、いまだにそうした投稿があるというのは、それだけ被害者がいる、ということです」

 こう話すのは、かつて「情報商材」販売で財を成し、現在は都内でIT系のコンサルタント会社を経営するK氏(40代)。K氏が指摘するのは、SNS上に無数に存在する「お金をプレゼントする」「お金を配る」という旨の投稿についてだ。

「かつては、札束をドーンと机に置いてね、フェラーリの写真とかタワマンからの風景とか、ブランド品で身を固めてそれをアップするとかね、そういう方法で人の耳目を集めて、俺みたいに金持ちになりたかったら情報商材を買え、というパターンが王道でしたよ」

 K氏が「現役」だったころに流行っていたのは、お金配りではなく、金持ちアピールをすることによって人々を集め、同じようになりたいと夢見る人に商材を売りつけるという手法だった。筆者も周辺の取材をしたことがあるが、いずれもが単なるマルチまがい商法の入り口であった。

 SNS上の「金持ち風」な投稿を見たユーザーが、自身も裕福になりたいという思いからアカウントに接触する。そして、「金持ちになる方法」が書かれているとされるPDFファイルなどの書類、もしくは薄い冊子などを十数万円から、高いものでは数百万円を出して購入するわけだが、そのほとんどは中身のない詐欺的なものだ。にもかかわらず、騙されたユーザーは購入したマニュアル通り、SNS上で「金持ちアピール」を始めるのである。というのも、そのマニュアルをさらに売ることでしか、使ったお金ぶんすら取り戻せないからだ。

「金持ち(を装った奴)が『こうすれば俺みたいになれる』と情報を販売していくんです。自分が誰かに販売し、その誰かがまた誰かに販売すれば、売り上げが入ってくるというマルチ商法的な仕組み。金持ちになれる情報といっても中身はすっからかんで、誰かを騙せば騙すほど金が入ってくるという単純なシステムに組み込まれるだけ」(K氏)

 K氏に言わせれば、金持ち風投稿をしている人々のほとんどが「被害者」であり、まもなく「加害者」にもなるのだが、こうした人々を増殖させていたのがK氏。つまり、金持ちになる方法がマニュアル購入で手に入ると信じるような「情弱(情報弱者)」を集めることをK氏は仕事としていたわけだが、購入者がビジネスを始めるにあたって、そのプロデュースも手掛けたという。

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン