スポーツ

女子ソフトボール上野由岐子 13年前からの変化と秘めた思い

エース・上野の13年前からの思いとは

エース・上野の13年ぶりの五輪への思いとは

 1996年のアトランタ五輪から正式競技に採用された女子ソフトボールは、2008年の北京五輪を最後にオリンピックから姿を消していたが、今回の東京五輪ではそれが復活。マウンドには2004年のアテネ、2008年の北京でも活躍した上野由岐子の姿がある。ベテランの域に達した彼女が、今大会にかける思いとは――。

 * * *
 女子ソフトボール日本代表は競技のスタートから4連勝。5試合目となる7月26日の予選リーグ・アメリカ戦では惜敗したものの、2008年北京五輪に続く連覇へ向け、決勝で再びそのアメリカと戦うことになる。

 全競技に先駆けて行われた初戦となる7月21日のオーストラリア戦後、記者会見に呼ばれた先発の上野由岐子には、五輪の正式競技から外れていた13年という時間に関する質問ばかりが飛んだ。

──13年ぶりのオリンピックのマウンドに上がった気分は?
──13年ぶりの金メダルに向けた意気込みを。

 まるで上野の時間まで止まっていたかのような世界の記者の口ぶりだったが、チーム最年長となる上野は淡々と言葉を紡いだ。

「13年という時間に特別な感慨はないんですけど、このマウンドに立つために取り組んで来たので、ワクワク感しかなかった。ワクワクが強すぎて興奮し過ぎないように自分を抑えて抑えて、立ち上がりは丁寧に投げすぎてしまった。とにかくやっとこの舞台に戻ってこられた。積み重ねてきたソフトボール人生をぶつけたい」

 上野に長期密着する機会があったのはまさに2008年だ。当時、26歳で、既に日本が世界に誇る豪腕、絶対的なエースとして君臨していた。仁王像のように立ちはだかるマウンドでの姿の一方、練習中から常にひとり自分の世界に浸り込むようなところがあった。五輪前の沖縄合宿中に、現地の支援者の自宅で食事が振る舞われた時も、大勢の仲間の隅っこに座り、静かに食事していた姿が印象に残る。そしてその時の言葉も。

「孤独? そんな生き方をしているつもりはないですけど(笑)、自分の中にあるのは、ソフトを広めたいということだけなんです。ソフトボール選手である自分にとって、もちろん、目標はオリンピックで金メダルを獲ること。獲ったあとの人生は……考えていないです」

 北京五輪では準決勝のアメリカ戦、その同日に行われた決勝進出決定戦のオーストラリア戦、さらに翌日の決勝アメリカ戦と3連投し、2日間で413球を投げる快刀乱麻を断つピッチングで日本を金メダルに導いた。決勝後、グラウンドにアメリカ代表の選手らとボールを並べ、正式競技への復活を願ったのは五輪史に残る名シーンだった。金メダルという大願を成就しても、上野は現役を続け、そして東京五輪での正式競技復活が決まった。

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン