ライフ

64才女性記者 ユニクロCMで感じた「誰かと生きるか、ひとりで生きるか」

LGBT対応した多目的トイレマーク(時事通信フォト)

LGBT対応した多目的トイレマーク(写真/時事通信フォト)

 ぼーっとテレビを見ていたら、「あら?」と自分の意外な感情に気づくことがある。女性セブンの名物アラ還記者“オバ記者”こと野原広子が、ユニクロのCMを見て感じたこととは?

 * * *
「ん? どういうことなの?」から、「そうか、なるほどね」まで2、3分かかったと思う。

 同居している若い女性カップルの日常を切り取った、ユニクロのCMのことだ。4月末から流れていたそうだけど、私が気づいたのは一昨日。

 CMの2人の関係性がわかるのは生花店のシーンだ。2人連れ立って来店すると、綾瀬はるか演じる店員さんから「もしかして記念日ですか?」と尋ねられて、互いにはにかむ。そして、「2人がしたいことは、みんながふだん着でしていること」とナレーションが入り、手をつないでいる画に「風通しのいい世界へ。」という文字が重なる。

 64才のいままで、時代の節目になるCMに驚いたり、ショックを受けたり、笑ったりしてきたけど、この60秒ほど目も手も止まったことってあったかしら。それなのに自分が何に驚いているのかうまく説明がつかない。気持ちが落ち着かない。そこでその正体をちょっと考えたくなったの。

 最近よく耳にする「LGBT」はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった略語で、こうした人たちに対する差別意識をなくすために法整備をしようという動きがあったことは、衆議院議員会館で雑用のアルバイトをしている私の耳にも入ってきた。

 一方、ユニクロといえば、数年前から商品の配置を男女で分けるだけでなく、どっちでもいいよというユニセックスのコーナーができて、シャツやパンツなどレディースサイズでは窮屈な私はとても便利になった。カジュアル服に男も女もないしね。

 が、それだけではない。衝撃はおそらく私の個人的な事情もあると思う。

「あなた、ちょっとぉ! ここは女子トイレですよッ」

 いまでこそ典型的なおばちゃん体形の私だけど、10代後半から20代前半はぺたんこ胸でガッチリ型。よく、「ちょっと兄ちゃん」と呼び止められた。けど、そのときの私は駅の女子トイレに入った途端で、トイレから出ようとしているおばさんはすれ違いざまに私を男に間違えて怒鳴った。ムッとして「私、女子ですけどッ」と気色ばんだ。

 そのくせ怒りがすぐに収まったのは、心のどこかで、「しょうがないかな」という気持ちもあったからだ。私は性別は女だけど、見た目だけでなく、私の中に男性が棲みついていたからだ。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン