大型書店や図書館に行けば、多種多様なラインナップが並ぶ図鑑。子供の頃、好きなジャンルの図鑑を買ってもらってワクワクした記憶がある人も多いだろう。その図鑑に近年、新たな潮流が生まれている。2017年に刊行された『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)や、翌年の『わけあって絶滅しました。』(ダイヤモンド社)などは、動物の「残念な生態」を集めるという切り口の「笑える図鑑」だ。
もちろん、図鑑に求められるおもしろさは、笑いだけではない。現在出版されている学習図鑑はどれも、正確な自然科学の情報に加えて「いかに楽しませるか」にも注力し、さまざまな工夫を凝らしてある。
2002年に始まり、現在25巻まで刊行されている「小学館の図鑑NEOシリーズ」では、多くが特典としてDVDをつけている。いまや、映像つきの図鑑は当たり前。「動く図鑑 MOVEシリーズ」(講談社)や、「図鑑LIVEシリーズ」(学研)なども、映像つきを売りにしている。
そのほかにも、「読む」だけにとどまらない、あらゆる工夫がなされている。2009年から刊行されている「NEOぷらすシリーズ」の中の『くらべる図鑑』は、図鑑ブームの火つけ役となった。人間を基準に、動植物、乗り物、惑星など、あらゆる身の回りのモノをジャンルにとらわれずに列挙し、その大きさや距離、体積などを比べるという切り口が「革命的図鑑」として専門家からも評価され、現在は3巻累計で120万部を突破している。
同じシリーズの『分解する図鑑』は、身近な家電製品のパーツや料理の材料など、あらゆるものを「分解」した写真やリアルイラストで掲載している。