夏の食卓に欠かせない「そうめん」。猛暑で食欲が落ちると、のど越しが良く調理も簡単なため、ついつい「そうめんにしよう」と考えることが多くなりがちだ。しかし、そればかりだと、栄養面のリスクが生じることになる。小田原短期大学食物栄養学科准教授で管理栄養士の平井千里氏が指摘する。
「そうめんは小麦粉でできているので、糖質が多い。それから製造工程で塩を使っており、麺つゆにも塩分が多く含まれているため、塩分過多になるリスクがあります」
そうめんにはさっぱりしたイメージがあるが、糖質はごはん一杯(150g)よりもそうめん一人前(100g)のほうが多い。文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに算出すると、そうめん100gに対して糖質は約70gが含まれている(ごはんは150gに対して糖質約55g)。
そうめんに限った話ではないが、偏った食事で糖質を多く摂りすぎれば肥満や糖尿病などのリスクが高まる。つゆによる塩分過多には、高血圧の注意が必要になる。
とはいっても、「介護の現場では夏場になるとそうめんの需要が高い」と、平井氏は語る。どのように食べるといいのだろうか。
「卵を落としたり、野菜の天ぷらといった副菜と一緒に食べると栄養バランスが摂れていいでしょう」(平井氏)
とろみも重要だ。
「嚥下機能が低下して、のどの開閉が遅くなっている人には、とろみ剤を使うと、のどに送り込むスピードを緩やかにできて誤嚥を防ぐことにつながります」(平井氏)
そうめんに限らず麺類は全般的に誤嚥を起こしやすいため、特に飲み込む力が弱くなる高齢者は注意が必要だ。
そうめんを味わうには麺つゆも欠かせない。
「やはり日本人ですから、出汁の味を楽しみたい。麺をつぶしてペースト状にして麺つゆで味付けをしたものを提供しても喜ばれます」(平井氏)