地元開催の東京五輪で、1984年のロサンゼルス五輪以来の金メダルを目指す侍ジャパン。投打で各球団の主力をそろえた豪華な陣容で、チーム内の雰囲気も非常に良い。
「感染防止の観点で、宿舎での交流は制限されていますが、練習中は柳田悠岐(ソフトバンク)、菊池涼介(広島)が盛り上げ役になって活気があります。村上宗隆(ヤクルト)、新人の栗林良吏(広島)、伊藤大海(日本ハム)ら新参組も溶け込んでいます」(スポーツ紙担当記者)
ところが、大会前にチーム内であわや「空中分解」の危機が起きていたという。
事の発端は7月24日の強化試合・楽天戦だった。7回から救援登板した故障明けの千賀滉大(ソフトバンク)が4安打2失点と打ち込まれ、逆転負けを喫した。
「ストレートも遅く、フォークも大きく外れるなど、本来の姿にはほど遠かった。この回から途中出場してバッテリーを組んだ梅野隆太郎(阪神)にとっても正捕手奪取のチャンスでしたが、アピールできなかった」(同前)
まさかの逆転負けにネット上は“戦犯”を糾弾する書き込みが相次いだ。あるファンは〈千賀のせいだの梅野のせいだの言ってる人いるけど、シンプルに千賀を抜擢した稲葉(篤紀監督)の責任な〉とツイッターに書き込んだが、この投稿が波紋を広げることになる。
「梅野は自身のアカウントでこのツイートに“いいね”を押してしまったのです。監督の采配批判はタブーですから、担当記者や選手の間で動揺が広がりました。梅野は誤って押してしまったようで、関係者から騒動になっていることを聞くと即座に取り消しましたが、稲葉監督の耳にも入ったと聞いています」(同前)
稲葉監督もさぞやショックかと思いきや、「全く気にしておらず、梅野にもペナルティーなどはなかった」(同前)とのこと。8月2日の決勝トーナメント初戦・アメリカ戦でも梅野に先発マスクを任せた。
まさに「命拾い」した梅野。好プレーで稲葉監督に恩返しできるか。
※週刊ポスト2021年8月20日号