地震列島・日本では、現在主に駿河湾から四国・九州の沖合を震源とする「南海トラフ地震」と、1都3県の地下で起こる「首都直下地震」が、その社会的影響からとくに心配されている。いつかは来ると言われるその2つの大地震に備えて、日本で発生した過去の地震を知っておくのもいいだろう。
南海トラフ地震は、90~150年の間隔で繰り返し発生してきた。最大級の宝永地震(1707年、M8.6)や、直近では1944~1946年に昭和東南海・南海地震(M7.9~8.0)などである。
首都直下地震は、地下深部の海と陸のプレート境界で起きる場合(1923年の大正関東地震など)に加え、浅い地下で発生する場合(1931年の西埼玉地震など)もある。規模や発生頻度は地震の種類により異なる。
首都直下と南海トラフが連動した「安政大地震」
江戸時代には、南海トラフ地震と首都直下地震が短期間のうちに日本列島を襲った前例があった。
1854年、駿河湾から熊野灘・遠州灘沖を震源とする安政東海地震(M8.4)が発生。その約32時間後、紀伊半島から四国にかけて深刻な被害を及ぼした安政南海地震(M8.4)が続いた。
それから1年以内の1855年11月11日、東京湾北部を震源とする安政江戸地震(M7.0)が起き、建物の倒壊や火災により約1万人が亡くなった。
今後想定される南海トラフ地震と首都直下地震も、江戸時代のように立て続けに起こる可能性はあるのか。東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘する。
「地震の発生の仕方は毎回違うので、同じことが起こるかどうかは分からない、としか言いようがありません。しかし、過去にはそういうケースもあったことを意識し、備えに役立てる必要があるでしょう」