陸上日本勢のなかでメダル期待の高い男子400リレーの決勝が、8月6日夜に行なわれる。リオ五輪では強豪・米国チームなどを抑えて銀、5日の予選では全体9位のタイムだった(1組目の着順で決勝進出)が、日本記録・9秒95を持つ山縣亮太選手(29)ら9秒台の3人もまだ余力を残し、世界一とも言われるバトンパスでもまだ伸びる余地もある。メダルの可能性も小さくはない。
無観客で行われている今回の五輪陸上は、37年ぶりの決勝進出(橋岡優輝選手。22)があった男子走り幅跳びでは視聴率が11%を超え、期待を裏切らないどころか上回る勢いで日本記録更新があった男子3000m障害や女子1500m(6日夜に決勝)も、お茶の間を賑わせた。
ところが、視聴者に首を傾げさせている「出演」がある。個人種目を含め出場のないケンブリッジ飛鳥(28)がテレビCMなどに頻繁に登場しているのだ。7月末、競技開始序盤の陸上競技中継(フジテレビ系)などの際には出演CMが流れ、SNSなどでは「テレビつけて陸上見はじめたけどCM入って混乱。リレメン(リレーメンバー)まで調べ直しちゃった」「ケンブリッジ選手、たしかに強いし好きだけど、別にこういう形で見たいわけじゃ…」との声が上がっていた。
ケンブリッジ選手は100mで10秒03の記録を持ち、リオ五輪のリレーでは4走を任され、隣のウサイン・ボルト選手(34)と“至近距離”で競り合った。2016年にはそれまで所属していたドーム社を退社し、プロ転向後、2017年に食品メーカーのCMで初のテレビCM出演を果たす。その後も陸上大国・ジャマイカ生まれの父ゆずりの端正な顔立ちを武器に、エネルギー企業や製薬会社のCM、イベント、バラエティ番組までの出演のオファーが殺到した。
今回の五輪出場に向けても、本命の男子100mで昨年8月にベストタイムを出すなど調子を上げていたものの、最終選考の陸上日本選手権で強豪たちに敗れ、枠を持っていかれてしまった。CMや広告では、タータン(陸上競技場の地面)を力強く蹴るケンブリッジ選手をメインカットに使うことが多い。
通常、遅くとも3か月前にはテレビCMの枠は決まっているし、TwitterやYouTube向けやネットのバナー広告も、準備が必要だ。作り直しも難しいだろう。CM出演企業の1つで「貴金属・宝飾品」カテゴリーのJOCオフィシャルサポーターであるTANAKAホールディングス(田中貴金属グループの持ち株会社)に聞くと、「CM自体は2019年に製作し、五輪開催期間の放映枠に流すことになっていました。もともと、『コツコツ頑張る人』の1人として、ケンブリッジ選手を起用していました」(広報部)と話す。