芸能

五輪辞任ドミノをきっかけにすすむ芸人リストラ 秘密裏に「身体検査」も

東京五輪、なかでも開会式に関わる人たちの過去が次々と問題になった(イメージ、dpa/時事通信フォト)

東京五輪、なかでも開会式に関わる人たちの過去が次々と問題になった(イメージ、dpa/時事通信フォト)

 世界であれほど威力を発揮した「#MeToo」も、日本では散発的な話題になるだけで、社会的なムーブメントには結びつかず、相変わらずハラスメント加害者は謝罪も反省もしないことがほとんどだ。しかし東京五輪をきっかけに、過去の加害であっても、それに対する誠実な対応と態度を重ねることが求められるようになるかもしれない。俳人で著作家の日野百草氏が、水面下ですすむ、コンプライアンスがより重視されているテレビ業界での芸人リストラ事情について聞いた。

 * * *
「このオリンピックをきっかけに、芸人のリストラが進むかもしれません」

 渋谷、オリンピックの盛り上がりと呼応するかのように押し寄せる人波を眺めながら、キー局子会社役員のA氏が喫茶店のアクリル板越しに発した言葉は衝撃的だった。本稿、「A氏という書き方は嫌だ」と筆者はゴネたのだが、仮名であっても連想によるハレーションは避けたい、固有名詞は何であれ遠慮する、とのことでA氏とさせていただく。

「とにかく芸人の数が多い。椅子とりゲームになっています」

 確かに、昨今の芸人はバラエティや情報番組、ワイドショーに出ずっぱり。スポットで呼ぶ専門家と局アナを除けば番組ゲストからひな壇まで全員芸人というワイドショーもある。時事ネタはもちろん、ときに政治批判も展開する。

「それなりのキャリアの人気芸人でもローカルやネットテレビに行くしかない場合もあります。でもローカルやネットテレビに残ればまだマシです」

 キー局とその他ではギャラがまったく違う。ローカル局と呼ばれる地方局やネットテレビの単発ばかりでは華やかな芸能人、という生活には程遠いが、テレビに出ている芸人というエクスキューズにはなる。

「コロナもありますし、舞台しかなくなった芸人なんか大半はバイト生活でしょう。ユーチューブ一本で成功できる芸人も一握りです。あれはあれで難しい」

 メディアでまったく露出のなくなった芸人には厳しい現実が待っている。視聴者がいくらテレビなんかと嫌っても、芸人が稼ぐには、メジャーでいるにはテレビに出るしかない。インターネットテレビやラジオという手段もあるだろうが、それはテレビ出演を確保しているからこその余録であり、ましてそれすらなくなることは「落ちる」ことを意味する。舞台だけでは食えないし、知名度は大幅に下がる。コロナ禍で営業もままならない。

「どんなに強がってみせてもキー局からお呼びが掛かって断る芸人はいませんし、そもそも事務所が許しません。視聴者の方々が思う以上に、キー局のテレビで見ない日はないって状態の芸人は凄いんです。豪邸だって高級車だって手に入る。日本中が羨む美人と結婚できたりする。だからこそ、その椅子とりゲームに意地でも残ろうとする。下衆と思うかもしれませんが、好きなことで成功するってそういうことです。残酷なんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

小さい頃から長嶋茂雄さんの大ファンだったという平松政次氏
《追悼・長嶋茂雄さん》巨人キラーと呼ばれた平松政次氏「僕を本当のプロにしてくれたのは、ミスターの容赦ない一発でした」
週刊ポスト
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
日本の景気を良くしたいなら、選挙対策の消費減税より日銀が粛々と利上げすべき 「金利を下げれば景気が良くなる」の理屈が日本だと逆になる理由を大前研一氏が解説
日本の景気を良くしたいなら、選挙対策の消費減税より日銀が粛々と利上げすべき 「金利を下げれば景気が良くなる」の理屈が日本だと逆になる理由を大前研一氏が解説
マネーポストWEB
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン