2022年2月に開催が迫っている北京五輪──。東京五輪の開会式は無観客で盛り上がらなかったことに加え、演出にも「地味」という声が寄せられたが、北京五輪では東京五輪とは比較にならないほど、大規模で派手な開会式になることが予想される。
2008年の夏季五輪と同様、9万人超を収容する国家体育場(通称「鳥の巣」)で行なわれる予定だが、前回の演出は大きな話題を呼んだ。
まずは、開会式が雨にならないよう、事前に雨雲にロケットで化学物質を打ち込む「人工消雨」作戦を実行。3万発の花火に始まり、兵馬俑を再現した京劇やシルクロードと明時代の大航海を示す演出……。聖火の最終ランナーはワイヤーで吊るされて上空を1周し、観るものを驚かせた。
元日本テレビ中国総局長で『インサイドレポート 中国コロナの真相』(新潮新書)の著書があるジャーナリスト・宮崎紀秀氏が語る。
「中国の歴史や文化と民族の融合をアピールした力の入った開会式でした。一方で、『巨人の足跡』を描いた花火が実はCGだったことや“微笑みの天使”と呼ばれた少女歌手が口パクだったことで批判も浴びました。
2008年当時の中国は、遅れた国のイメージを払拭し国際的に認められようと意気込んでいたので、見栄を張る側面が見受けられました」
あれから14年。今やテクノロジーの分野などで最先端を行く中国は、どんな演出を見せるのか。宮崎氏は、前述した五松体育館のように、「科学技術を駆使した演出になる」と予想する。
「国を挙げてIT強国にのぼり詰めた中国だけに、とりわけインターネットの次世代技術と中国という国家の偉大さを自賛する演出になるでしょう。CGやデジタルアートも取り入れたものになると思います」
この先端技術に中国の伝統文化を融合させてくると見るのは、中国に詳しいジャーナリストの西谷格氏だ。
「北京五輪の立候補ファイルには、『長城や春節など、中国の代名詞ともいえるテイストをヒントにする』としています。2022年は寅年でもあるので、平昌五輪で電飾をつけたパンダの着ぐるみが氷の上を滑ったように、立体ホログラムで虎が踊るような演出も考えられる。
東京五輪では、1800台のドローンを使用しましたが、ドローン芸は中国のほうが一枚上手。4000台以上飛ばして、中国大陸を描いたりするかもしれません」
昨年の12月、月面探査機に大会マスコットの人形を載せ『宇宙科学と五輪の融合』をアピールしたことも無視できない。
「習近平国家主席の人形をロケットに載せて飛ばすなど、何かしら宇宙を絡めた演出は十分考えられます」(西谷氏)