東京五輪で過去最多となる27個の金メダルを獲得した日本に対し、ロス五輪(1984年)以来の最少6個の金メダルにとどまった韓国。しかし、彼らの五輪はまだ終わっていないようだ。
新競技スポーツクライミングのボルダリングで使用された人工壁の一つが、日本の「旭日旗」をモチーフとしたものだとして、韓国で批判が相次いでいるのだ。
発端は韓国で“クライミングの女帝”と呼ばれるキム・ジャイン氏によるインスタグラムへの投稿だった。
「旭日旗は日本が第二次世界大戦期間中に使用した軍旗で、日本の軍国主義を象徴する戦犯旗だ」
「旭日旗は、ナチス・ドイツの象徴であるハーケンクロイツ(鉤十字)と変わらない」
これに呼応したのが反日活動家として知られるソ・ギョンドク誠信女子大学教授で、閉会式後の8月9日にIOC(国際オリンピック委員会)に抗議文書を送ったという。
折しも大韓体育会の李起興・会長が8月8日の会見で、五輪における旭日旗の使用に関して、IOCから今後禁止とする確約を得たと発表。東京五輪組織委員会の武藤敏郎・事務総長が翌日、「(IOCが)禁止すると言ったことは事実ではない」と反論するなど、旭日旗が外交問題となっている。
朝日新聞元ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏は言う。
「韓国は近年、旭日旗を日本にクレームする道具として利用していますが、旭日旗をナチスの鉤十字と同一視する韓国の主張は世界では受け入れられていない。日本政府も『政治的・差別的な主張を含むものではない』という立場で毅然とした対応をすべきです。そもそも、すべての旭日旗が問題なら、なぜ韓国の活動家らは朝日新聞の社旗を問題にしないのか。朝日が韓国寄りだからだとすれば、矛盾しています」
日韓を隔てる壁は高い。
※週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号