一度食べだすと歯止めがきかなくなり、気がつけばスナック菓子を1袋ぺろりと食べてしまう。そんな経験はないだろうか。お腹がいっぱいのはずなのに、「もっと食べたい」と食べ物に手が出てしまう。これが依存の怖いところだとアメリカ在住の内科医・大西睦子さんは警告する。
「食べることがコントロールできなくなることを『食物依存症』といいます。単なる食べすぎとは違って、ここでいう危険で注意が必要な食べ物とは、習慣的に食べすぎてしまい、さまざまな健康被害を引き起こすものを指します」(大西さん・以下同)
大西さんによると、食物依存症はアメリカで深刻な問題になっており、“中毒”になりやすい危険な食べ物の研究調査も積極的に行われているという。
「2015年に科学雑誌『PLOS ONE』で、米ミシガン大学による研究が発表されました。18才から23才までの男女120人を対象に食物依存症の調査を行ったところ、全体の7%はなんらかの食品に対して依存しており、残りの約92%は『食べたい』という願望が必要以上に強く、やめたくてもやめられない食べ物があることがわかりました」
同大学は、さらに18才から64才の参加者を対象に、さまざまな栄養成分を持つ35種類の食品リストから、食物依存症になりやすい食品を調査した。ランキングを見ると、1位はピザ、2位はチョコレート、3位はポテトチップス、4位はクッキー、5位はアイスクリームと続く。一方で、きゅうり、にんじん、豆、りんご、玄米といった食品は依存度が低かった。自然の状態の食べ物ほど依存度が低く、加工度の高い食品ほど依存の問題があることは、誰が見ても一目瞭然だ。
「自然の状態で依存性のある物質というのは滅多に存在しません。たとえば、果物であるぶどうはアルコールであるワインに加工されることで、植物であるケシは麻薬であるアヘンに加工されることで依存度が高くなるのです。同様のプロセスが、加工食品には発生していると考えていい」
危険な食べ物や、それに対する依存性の問題は、海外に限った話ではない。日本人になじみ深い食品にも多く存在する。今回、5人の専門家に話を聞いたところ、全員が「危険」と声をそろえた中毒性の高い食べ物が「ラーメン」だ。
塩分も高く、そもそも体にいいイメージを持っている人は少ないだろうが、それでもやめられないのはなぜか。薬食フードライフ研究家の沢木みずほさんは、スープにその秘密があると解説する。