ライフ

糖尿病の減薬法 糖質制限やタンパク脂質食などの「食事療法」を医師解説

糖尿病薬とどう向き合うか、医師たちが解説(写真は泰江慎太郎医師)

糖尿病薬とどう向き合うか、医師たちが解説(写真は泰江慎太郎医師)

 多くの日本人が、「生活習慣病」の治療薬と長い付き合いをしている。注意したいのは、複数の基礎疾患を抱えた人の「多剤併用」だ。「糖尿病」の治療における多剤併用も、弊害がある。銀座泰江内科クリニック院長の泰江慎太郎医師は40代後半の男性糖尿病患者の「減薬」をこう実現した。

「男性は糖尿病のビグアナイド薬を1日朝・昼・晩計3錠、DPP-4阻害薬を1日朝1錠、スルホニル尿素(SU)薬を1日朝・晩計2錠に加え、高血圧なので降圧剤のCa拮抗薬を1日朝1錠飲んでいましたが、血糖値が下がらず当院を受診されました。

 まずは薬の種類を減らして生活のなかで飲みやすくする必要があると考え、SU薬を中止する代わりに就寝前のインスリン注射を導入、ビグアナイド薬の処方量を増やして1日1錠に変えました。計4種のまま飲み薬は朝だけで済むようにしたところ、8か月で血糖値が落ち着き、そこでインスリン注射をやめました」

 血糖値がみるみる下がることで男性自身の生活習慣改善の意欲は増し、男性の体重は8か月で5kgほど減ったという。

「すると血圧も下がり、Ca拮抗薬も中止できました。薬4種が2種に減り、1日1回朝2錠飲むだけになった」(泰江医師)

 糖質制限食専門病院として知られる高雄病院理事長の江部康二医師は、糖質を制限する食事療法で断薬する試みを続けている。

「米国糖尿病学会が『血糖値に直接影響を及ぼすのは糖質のみ』とガイドラインに示した点に着目し、2週間の入院治療では糖質制限食を中心にした治療により、3分の2の患者さんがインスリン注射を離脱することができ、残り3分の1は減量しています。糖尿病治療では、患者自身が体内でインスリンを作る能力があれば、飲み薬をゼロにできることも多いです」

 同様に、食事療法で「インスリン・オフ」を指導するのは『糖尿病の真実』(光文社新書)の著者・水野雅登医師だ。

「患者さんには1日に体重(kg)の1.5倍以上にあたるグラム数(60kgなら90グラム)のタンパク質を摂取する『タンパク脂質食』を勧めています。タンパク質で筋肉を増やして糖の消費を促進し、膵臓を休ませることで機能を回復させることが目的。具体的には、ご飯やパンは限りなくゼロにし、肉や卵、魚でお腹いっぱいにするイメージです」

 しかし、自己判断で薬をやめてタンパク脂質食に切り替えるのは禁物だ。

「SU薬のような血糖を大幅に下げる薬を飲んでいた人が糖質制限をすると低血糖のリスクがある。必ず主治医に相談してください」(水野医師)

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン