「お互いの行き違いがあっただけ」「親しみの気持ちをこめただけ」などの言い回しは、ハラスメント行為の加害者がよく使う言い分けだ。残念ながら、この言い分けが通用した時代が少し前にあり、いまだにその当時の言動を続けている人たちがいる。その一人だと目される河村たかし名古屋市長の金メダル齧りやセクハラ事件をきっかけに、過去の女性声優へのハラスメント事案が呼び覚まされた。俳人で著作家の日野百草氏が、上位者によるハラスメントが公然と見過ごされた時代を振り返り、もう終わりにしようと呼びかける。
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「河村は常習犯です。アイドルから声優まで見境なく肩を抱き寄せます」
筆者のDMに来たファンからの投書、河村たかし市長(72歳)のSKE48に対するセクハラについてだった。2013年1月30日付の報道写真を見る限り、確かに河村市長はSKE48のリーダー(当時)高柳明音さんの肩を抱いて飛び入り参加している。常習犯かはともかく、接触過剰なのは事実のようだ。
「声優もそうです。すみぺとか、みっくとか、被害に遭ってます」
どちらも人気声優、すみぺは上坂すみれさん、みっくは伊藤美来さんのことだ。筆者の筆によるものではないが『河村たかし・名古屋市長 7年前にも未成年声優への「抱きつきセクハラ」』は「週刊ポスト」でも伝えられている。2014年「世界コスプレサミット」において、当時17歳の伊藤美来さんの肩に手を回し、抱きついた行為だ。上坂すみれさんに関しては2017年の「蒲郡コスプレサミット」とのことで、こちらも複数の目撃談がある。セクハラという点はもちろん、ファンにとっても公然の「許しがたい行為」だった。河村市長、正直いい度胸だと思う。金メダルを齧られた上にセクハラ会話で詰められロイターにまで報じられたソフトボール日本代表後藤希友選手と同様彼女たちもまた、河村市長のセクハラの被害者だった。いくらイベントのお祭り騒ぎとはいえ公人、それも名古屋市という日本有数の自治体の長がすべき行為ではないだろう。
「肩を抱いただけって済ますのはおかしいです」
当該記事を読んでのDMだそうだが、SNSや匿名掲示板の「それくらいいいじゃないか」という意見に納得できないという。残念ながら、中高年やその上の年代の一部男性には、こうした旧態依然の価値観がいまだはびこっている。どれもマッチョかつ現代の社会規範にアップデートできていない方々の意見であり、それに対して「違う」と声を上げるファンの声のほうが正しい。「相手がどう思っているかにもよる」なんて話はもう通用しないのに。された側は上位者相手ゆえに愛想笑いするしかないし、「なんとも思っていない」とか、「気にしてない」とか言うしかない。ゆえにセクハラは深刻であり、許されない行為なのだ。筆者もかつてそうした光景を何度も見てきた。