この1か月足らずの間に急展開が続いている。チームメイトへ暴力を振るい、球団から無期限謹慎を言い渡されていた中田翔が8月20日、日本ハムから巨人へ電撃トレードされた。同時に処分は解除され、翌日には1軍登録、翌々日にはスタメン出場し2ランホームランを放った。しかし、巨人移籍後は14打数2安打の打率1割4分3厘と結果を残せず、8月28日の中日戦ではスタメン落ちした。中田1軍登録後のチーム成績は2勝3敗2分(いずれも8月28日現在)と首位・阪神との差を詰められていない。一方、グランド外では巨人が中田のジャイアンツ初本塁打記念グッズを製作している。プロ野球担当記者が話す。
「巨人にとって、中田の獲得はリーグ3連覇への大きな補強になったと思われていました。今年は開幕から不調だったとはいえ、昨年の打点王が加わるわけですから、数字上は間違いなくプラスになるでしょう。ただ、野球はそんな簡単なものではない。中田がスタメンで出れば、その分ポジションが変わったり、出場機会を奪われたりする選手がいる。その心理的な影響がチームの雰囲気を悪くすれば、中田獲得はマイナスにすらなるのです」(以下同)
中田が移籍2試合目から『5番・ファースト』で出場したことで、後半戦好調のベテラン・中島宏之はベンチを温めることになった。
「中島は中田加入の直前まで4試合連続ファーストで先発し、毎試合ヒットを放っていた。18日のヤクルト戦では決勝打となる2点タイムリーを打ったし、4試合中2試合はマルチ安打でした。それにもかかわらず、移籍してきたばかりで実戦から遠ざかっている中田にスタメンを奪われ、5試合も控えに回った。口には出さなくても、心中穏やかではなかったでしょう。
それでも、中田に代わって先発出場した28日の中日戦では1点リードされた5回の2死一塁、二塁でフルカウントから3球ファールで粘り、10球目を選んで四球。次打者、大城卓三の同点タイムリーを生んだ。ベテランらしい働きで、存在感を見せつけました」