完成在庫にはメリットもあるが…
長引くコロナ禍の経済情勢なども考えれば、晴海フラッグは完成在庫になることも十分にあり得るだろう。完成在庫とは、建物が完成して入居が始まった後も販売が続いている状態のことを言う。
だが、建物が完成すると、売る側にも買う側にもメリットが生じる。「実際の住戸を確認できる(していただける)」ということだ。おそらく、晴海フラッグも街並みがきれいに完成して、商業施設も開業されていけば、街としての魅力が分かりやすくなる。それによって販売も多少は進むだろう。
しかし、問題は2024年3月の入居開始時点で、いったい何戸の住戸が未契約のまま残っているのかということ。仮に未契約住戸が1000戸以上もあったとすると、それはかなり大変なことになる。
「駅から遠い」のが最大の難点
晴海フラッグは、時間が経てば経つほど販売しにくくなるタイプのマンションだ。その理由は「駅から遠いから」に尽きる。
最寄り駅である大江戸線の「勝どき」から徒歩16分から21分。徒歩分数は敷地の端から駅の出入口までの距離を80メートル=1分として割り出されている。端数は切り上げである。
晴海フラッグの住棟は東西横長が多い。東の端からだと徒歩16分でも、西寄りの住棟だともっとかかる。しかも住戸のドアを出てから敷地を出るまでと、駅の出入口からホームに達するまでの時間はカウントされていない。「徒歩16分」と表示されている住棟でも、実際には20分以上かかると想定すべきだ。
さらに、エレベーターの待ち時間が長くなりがちなタワーマンションだと、ホームにたどり着くまで30分ほどかかっても不思議ではない。だとすると駅との往復だけで1日あたり1時間が費やされることになる。
「地下鉄ではなく東京BRT(バス高速輸送システム)を利用すればいい」という声も聞こえてくるが、BRTの利便性がどこまであるかは不透明だ。
まず、停留所まで徒歩数分かかる。あと輸送力が地下鉄とはケタ違いに小さい。バス2台分で地下鉄1車両分である。しかも、通勤時以外は地下鉄ほど運行ダイヤが密ではない。