今年の就職活動もコロナ禍の影響を受けている。昨年は急遽、就活がオンライン中心に切り替わり、それまで準備がなかった大学生の戸惑いは大きかった。先輩の就活経験も役に立たず、大学のサポートも最初は受けられなかったからだ。
このような状況が続く中、今年の大学別の就職実績はどうなったのか──。有名企業400社の実就職率(400社就職者数÷〈卒業(修了)者数-大学院進学者数〉×100で算出)を見てみよう(別掲のランキング参照)。
400社は日本を代表するトヨタ自動車、日立製作所、三菱UFJ銀行など、日経平均株価指数の採用銘柄や企業規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選んだ。なお、一部が未回答の東大は表から除いている。
今年の400社への就職者数合計は570大学の5万3310人で、昨年より7481人、12.3%の減少だった。大手企業も採用を減らしており、コロナ不況と呼ばれる状況になりつつある。
今春では学生に人気の高い航空や旅行代理店、デパートなどが採用数を大きく減らし、文系学生の就職先が減った。とりわけ女子の就職が厳しくなった。
一橋大の就職者数が群を抜いて多いIT企業は
その中で大学別の400社への実就職率を見ていこう。トップは4年連続で首位を守ってきた東京工業大を抜いた一橋大だった。しかも56.7%の高率で、コロナ禍が始まる前の2019年の55.0%を上回った。昨年よりアップしているのは、他に4位の豊田工業大と18位の京都工芸繊維大だけで、400社への就職も厳しかった。
一橋大は文系学部のみの卒業生の実績で、就職者の多い主な企業を見ると、楽天グループ37人、みずほフィナンシャルグループと三井住友銀行が各15人、日本生命保険13人、三菱UFJ銀行11人、日本政策金融公庫と日立製作所が各10人などとなっている。金融に強いのが特徴だ。
最近はAIの活用でメガバンクをはじめとする銀行の採用人数は減っているが、それは一般職のことであって総合職の採用人数はあまり変わらず、一橋大の就職者は多い。
卒業生数が861人と少ない割に、楽天グループの就職者数が群を抜いて多いのが特徴だ。とはいえ、他のIT企業はソフトバンク4人、サイバーエージェント2人、ヤフーやディー・エヌ・エーはゼロだから、決してIT企業志向が高いわけではない。楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が、一橋大出身ということが影響しているのかもしれない。