新型コロナウイルスのワクチン2回接種を終えていた河村たかし名古屋市長が、コロナ感染していたことがわかった。ワクチンを接種したあとでも感染することをブレークスルー感染といい、河村市長もそれにあたる。どの感染症に対するワクチンでも、効果は100%にならないので新型コロナウイルスだけの特殊なことではないのだが、ワクチンを打っても意味があるのだろうかと考える人がいても不思議はない。俳人で著作家の日野百草氏が、ワクチン2回接種を終えた高齢者の不安な気持ちを聴いた。
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「ワクチン2回打ってるのに罹るのね、コロナって怖いわ」
多くがワクチンを打ち終わっている後期高齢者のみなさん。筆者はカルチャーセンターや趣味の会などで多くの高齢者と共にする機会が多いが、彼ら、彼女らの心配は2回打ってもコロナに罹るのでは、ということだ。
「河村さんって2回打ったんでしょ、それで罹るなんてね」
80代の女性が切り出すと「そうよね」「怖いね」とみなさん相づちを打つ。名古屋市の河村たかし市長(72歳)が新型コロナウイルスに感染しているとの報道を受けてのよもやま話だ。
「お若いのにね、怖いわね」
80代からすれば70代の河村市長などまだ若い。情報源は主にテレビや新聞だが、最近はスマホのネットニュースもチェックする高齢者が増えている。とくにコロナに関する情報は命に関わるので怠らない。河村市長は8月29日から自宅待機だが、とにかく高齢者にとってショックなのが「ワクチン2回打ってるのに」だ。
「打てば大丈夫と思ってたけど、そうでもないのね」
未知のウイルスだけに絶対はない。厚生労働省によれば、ファイザー社製で2回目接種後7日経ってから以降、抗体ができるまで2週間程度が必要とされている。それでも有効率は95%、2回打って抗体ができるとされる2週間が経っても5%は罹患する。モデルナは94%、アストラゼネカは70%で、いずれも100%の保障はない。ただしこの%は人数とイコールではなく、たとえば100人打っても5人は感染するといった意味ではない。あくまで「発症予防」の意味合いによる有効性とその確率である。
「じゃあ河村さん、運がなかったのね」