2回接種だけじゃダメなのか?
2回のワクチン接種では「抗体」の量が低下してしまうというのが3回目接種の理由とされるが、当初はワクチン接種は2回で完了とされていたはずだ。
2回接種では「抗体」は足りないのか。久住医師はこう語る。
「(藤田医科大学の発表で)2回目接種から14日後と比べて3か月後には抗体の量が4分の1に減っていたという報道で、『抗体価4分の1』という言葉が独り歩きしている。
ワクチン接種で獲得した免疫は『免疫記憶』といって体の中に維持されます。たとえ、抗体価が減ってきた時にコロナウイルスに感染したとしても、免疫記憶により体内でウイルスに対する抗体が急速に産生され、ウイルスを破壊することで重症化を防げます。つまり、抗体価が4分の1になったからといってワクチンの効果が4分の1になるわけではなく、十分な効果を持っています」
どのくらい間隔をあけたらいい?
河野大臣は3回目接種のタイミングについて、アメリカに倣って2回目から「8か月」の間隔をあけることを想定しているという。
かたや、医療関係者や診療所がルールを破って2回目接種からもっと短い間隔で3回目を打ったケースもある。
3回目接種に意味があるならば、より早く打ったほうが効果が高まるのではないかと考える人もいるが、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師はこう答える。
「どうせ打つのであれば、間隔をあけたほうがよいと思います。一般的なワクチンは、1回目と2回目はあまり間隔をあけず、3回目は少し間隔をあけるという打ち方が“ブースター効果”が得られるとされています。2回の接種による抗体価が低下してきた頃に、もう一度打つと非常に強い抗体産生が起き、それが長期にわたって持続するという人間の免疫システムの特徴を活かした効果が期待できます。そうしたブースター接種は半年から1年後くらいにかけてやればいいと考えられます」
前出の西教授は、目的によって接種のタイミングが変わってくると言う。
「感染や発症の予防よりも重症化予防を重視するのであれば、半年以上経ったとしても慌てて打つ必要はありません。ブレイクスルー感染の状況を見て3回目接種の検討をすればよいと考えます」
※週刊ポスト2021年9月17・24日号