「元気ですかー! 元気が出てきましたよ」。難病を患い2か月間に及ぶ入院生活を送っていた“燃える闘魂”アントニオ猪木氏が、8月28日にYouTubeで退院を報告した。驚異の回復力で「闘魂復活」を見せた猪木氏。実は、病床から“復帰後”への意欲を見せていたという。
「猪木さんからは少なくとも週に1度、多いと2、3日に1度の頻度でお電話をいただいていました」
そう語るのは、九州大学大学院の渡辺隆行教授。
「私も心配なのに、『元気ですかー!』と(笑)。海外の環境汚染問題について調べては私に報告し、『水プラズマでこういうことができないか』と、いろんな宿題をもらいました」
猪木氏は、かねて環境問題の解決のため、「水プラズマ焼却炉」事業に取り組んでいる。この聞き慣れない事業は一体、何なのか。渡辺氏が言う。
「水を1万℃で燃やし、水素と酸素に分解して得たエネルギーでごみを焼却します。通常、ごみを燃やすと炭素は酸素と結びつき二酸化炭素を排出しますが、水プラズマを活用すれば、二酸化炭素を排出せずにごみを分解できる環境に優しい技術です」
きっかけは、渡辺氏の大学の研究室と民間企業で行なっていた研究がテレビで放送され、それを見た猪木氏本人からの1本の電話だったという。
「私も『えっ?』と驚きましたが、ご本人は以前から関心のあるフィリピンのスラム街やブラジルの河川の汚染問題解決に本気の様子でした。入院中も調査を続け、技術開発の助言までいただきました(笑)」(渡辺氏)
世間の心配をよそに、病床で前向きに次の夢を追い続けていたという猪木氏。現在の様子について所属事務所は、「自宅療養をしながら、『体調がよくなったらまた水プラズマに取り組み、世界中のゴミ問題を解決したい』と申しております」と回答した。
「環境問題」というリングで復活する日が楽しみだ。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号