8月30日に20年に及ぶアフガニスタン駐留を終えた米軍。首都カブールで自爆テロを起こした過激派組織イスラム国(IS)系の地元武装勢力に対し、報復攻撃を断行した際には、“秘密兵器”を使用したと報じられた。それが米軍内で「忍者爆弾」(ニンジャ・ブレード)と呼ばれる『R9X』だ。
中東とテロが専門の星槎大学大学院教授の佐々木伸氏が指摘する。
「忍者爆弾は小型のミサイルで、レーザー誘導して標的をピンポイント攻撃できる強みがある。着弾時に弾頭を爆発させる代わりに6枚の大きな刃が飛び出て標的を切り刻みます。今回の攻撃での使用を米軍は明らかにしていませんが、アラブ首長国連邦にいる米軍の操縦者が『死神』(リーパー)と呼ばれるドローンに装填し遠隔操作して発射したようです」
忍者爆弾は米軍がテロリストを攻撃する際、民間人が巻き添えになることを避ける目的で約10年前に開発が始まり、2019年に初めて実戦で使用された。だが、今回の報復攻撃では民間人が犠牲になったと報じられた。
「これまでは地上にいるCIA工作員や協力者による詳細な情報などに基づいて攻撃作戦を行なっていましたが、今回は撤退に伴い、地上の情報が少ないなかで実行されたようです。いくら新兵器を開発しても不確かな情報で作戦を実行すれば、民間人が巻き込まれるリスクが増大します」(佐々木氏)
「秘密兵器」は「諸刃の剣」でもあるようだ。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号