8月に日本ハムから巨人へ無償トレードで移籍した中田翔。チームメイトへ暴行が明らかになり日本ハムで無期限謹慎処分を言い渡されたが、巨人入団と同時に解除された。昨年のパ・リーグ打点王の加入は優勝を争うチームに大きな戦力となると思われたが、巨人移籍後17試合で打率1割5分8厘、1本塁打、2打点(9月9日現在。記録は以下同)と快音が聞かれない。中田加入後、巨人は5勝7敗5分と失速している。プロ野球担当記者が話す。
「原監督がなぜ打率1割台の中田を使い続けるのかわかりません。ベテランの中島宏之は少ないチャンスで結果を出している。東京五輪明けの後半戦、打率4割を超えています。阪神との首位攻防の3戦目(9月5日)から3試合連続で中島をスタメンで使っていたので、これからのファーストは中島を軸にするかもしれませんが、中田の成績なら二軍落ちしてもおかしくない。中島を休養させるために中田をスタメンで使うなら、ウィーラーをファーストに回して、外野で他の選手を使うという選択肢もあるはずですが」(以下同)
9月9日のDeNA戦では、岡本が四球で歩いた後の7回二死一、二塁のチャンスで見逃し三振。吉川尚輝、岡本和真の連続タイムリーで1点差に迫った9回にはショートへの内野安打で出塁して、丸佳浩の同点タイムリーに繋げたが、現在まで得点圏打率1割2分5厘と5番の役目は果たせていない。
「少なくとも本塁打、打点とセ・リーグ1位の4番・岡本和真の後ろを打つバッターとしては物足りない。コロナ陽性者が続出した4月、ファーストで香月一也が11試合に先発出場して打率2割8分1厘、3本塁打、6打点でした。代打成績も含めれば、4月の香月はOPS(出塁率+長打率)が1.000を超えていました。それに比べて、中田は巨人移籍後OPSが0.568しかない。香月は最近二軍でもあまり打てていませんが、中田と同じくらいチャンスを与えたら、それなりの活躍をしているかもしれない。そんな想像をしてしまうほど、中田は原監督に優遇されているように思います」
原監督は、9月2日のヤクルト戦で中田に“代打・若林晃弘”を送るなど、非情さも見せたが……。
「中田の実績や潜在能力を考えれば、期待したくなる素材です。今のうちにセ・リーグに慣れてもらい、終盤の爆発を待っているのかもしれません。しかし、これが前半戦ならわかりますが、もうシーズン終盤戦の9月で悠長なことは言っていられない。最近の巨人は打線が停滞して、連敗が続いている。5番が1割台では、点が取れないのは当然です」
中田スタメン12試合のうち、5点以上を取ったのは4試合。唯一のマルチ安打を記録した8月31日のヤクルト戦はチームも10点を取り、9回に内野安打を放った9月9日のDeNA戦では3点差を追いついて5対5の引き分けに持ち込んだ。中田が打てば、打線が繋がるのは明白。原監督は中田の復調を待つのか。それとも――。見極める時間はあまり残されていない。