9月12日に初日を迎える大相撲秋場所では、照ノ富士が第73代横綱として土俵に上がる。ヒザの大怪我から奇跡の復活を遂げた照ノ富士だが、関係者の間では“不吉なジンクス”が囁かれている。
「横綱土俵入りには『雲竜型』と『不知火型』の2つの型があるが、照ノ富士が選んだのは“短命に終わる”というジンクスのある『不知火型』なのです」(協会関係者)
双葉山、大鵬、千代の富士、貴乃花ら一時代を築いた大横綱は、いずれもせり上がりの時に右手を伸ばして攻め、左手を胸に当てて守りを表現する「雲竜型」。両手を左右いっぱいに開いて攻めを強調する「不知火型」には琴桜、隆の里、双羽黒、旭富士、(三代目)若乃花ら在位10~15場所で引退した横綱が多い。
「新横綱の土俵入りは、同じ一門の横綱経験者である親方が自分と同じ型を指導するのが慣例で、照ノ富士の場合、一門の総帥で所属部屋の師匠でもある伊勢ヶ濱親方(元・旭富士)から指導を受ける以外の選択肢がなかったのでしょうが、いまもヒザに分厚いサポーターを巻いて古傷の状態が心配される照ノ富士だけに、ジンクスの存在は不吉に感じられる」(同前)
このジンクスの唯一とも言える“例外”が、モンゴル出身の先輩で照ノ富士にとって因縁の相手である横綱・白鵬だ。
「不知火型を選んだ白鵬だが、数字の上では多くの歴代最多記録を塗り替え、“短命”で終わらなかった。ただ、最近は休場を繰り返して延命に走り、先場所の千秋楽の全勝対決では照ノ富士にプロレス技のエルボーのような激しいカチ上げを繰り出して勝ちを拾った。
横綱の品格など全く気にせず、なりふり構わず勝ちに行く姿勢が問題視される一方、照ノ富士は昇進伝達式でわざわざ『横綱の品格、力量の向上に努めます』と品格を強調するなど、白鵬を“反面教師”として打倒を誓っているのは明らか」(若手親方)
“短命”のジンクスを打ち破り、“延命”ばかり図る相手に、引導を渡す日はやってくるか。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号