山口俊、中田翔、ハイネマンと今季も巨人はシーズン途中の補強に余念がなかった。裏を返せば、新戦力が思うような働きを見せられていない現実もある。新外国人のテームズはデビュー戦で右アキレス腱を断裂して帰国。スモークは家族の来日が叶わないという理由などで途中退団した。それは外国人選手に限らず、FA移籍選手にとっても同様である。
DeNAからFA移籍の2人の日本人選手も、期待通りの活躍を見せているとは言い難い。4年8億円(金額は推定。以下同)で契約した梶谷隆幸は度重なる怪我で61試合の出場に留まり、2年2億円の井納翔一は開幕5戦目に先発するも1回でノックアウトされ、翌日に二軍落ち。5月4日に再昇格し、リリーフで4試合投げたものの、3試合で失点して5月20日に登録抹消された。以降、二軍生活が続いている(記録は9月12日現在。以下同)。プロ野球担当記者が話す。
「過去28人もの選手が巨人にFA移籍してきましたが、落合博満や小笠原道大のようなMVPやタイトルを取った選手は別として、他球団で投手なら先発で7勝前後、野手なら打率2割7分前後の数字なら、巨人に行けば活躍の場は少なくなると覚悟した方がいい。今年の井納が良い例でしょう。1回の先発で烙印を押されてしまう。二軍でも防御率4点台なので、首脳陣が使えないと判断するのもわかりますが、それならどうして獲得したのか。2016年オフに移籍した陽岱鋼は5年契約最終年の今年、8月28日にようやく初めて一軍登録されましたが、2週間で二軍落ち。とにかくシビアです」(以下同)
2017年から5年15億円で契約した陽岱鋼は、原監督が「打撃練習で調子が良かった」と認めた9月10日の中日戦に『1番・ライト』で今季初スタメン。2打席目にヒットを放ったが、翌日はスタメンから外れ、翌々日には二軍落ちした。
「どの球団のFA移籍選手もそうですが、巨人は特に1年目に活躍しないと2年目以降に挽回するチャンスが少なくなる。また新たなFA選手や新外国人などが加入するからです。しかも、1年目も春先に結果を出さないと、波に乗りづらくなる。シーズン中盤になれば、今年のようにトレードや新外国人を取ることもあるので、高待遇でFA移籍しても油断できない。打者は不調になれば長く我慢して使われることは少ないし、投手は先発要員として獲得されても、勝てなければ中継ぎに回ることになる。ペースを掴めないまま、1シーズンを終えてしまうFA選手もいます」