ライフ

【新刊紹介】キレのいい倒叙ミステリー『教場X』など4作品

book

ライターの和田靜香が、国会議員・小川淳也に生きづらさの原因を聞く

 そろそろ涼しくなってきて、静かに読書でも楽しみたい季節。そこで、読書の秋を彩ってくれそうな、注目の新刊4冊を紹介します。

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』
和田靜香・著 取材協力・小川淳也/左右社/1870円

 湯川れい子氏の愛弟子の、音楽&相撲ライターの著者。東京で食べていくのはラクじゃない。フリーで女で独身だと何でこんなに生きづらい? 映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の取材をきっかけに小川淳也衆院議員に食らいつく。その問答で生活と政治は不可分だと覚醒。著者の訴えに涙ぐむ議員もナイスガイ。間違いなく日本は今、没落と再生の岐路に立っている。

book

日本の教育が抱える問題とは?

『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』
工藤勇一、鴻上尚史/講談社現代新書/990円

 明治にできた学校制度の大目的は富国強兵。従順で協調性のあるモデルが高度成長にも有用だった。が、今も従順な子の量産でいいのか? 「学校と社会はシームレスでつながっていくべき」とする鴻上氏と、同意見ながら「学校を自己決定できる教育の場に変えていく」という言葉に変換する工藤氏の対談で、核になるのは自立(鴻上)と自律(工藤)。工藤氏の現場力がスゴイ。

book

加藤元による心温まる短編集

『ごめん。』
加藤元/集英社文庫/891円

 おざなりの「ごめんごめん」、もうあなたとは暮らしていけないと言うときの「ごめん」、長年働いてくれた道具に邪険にしていたことを詫びる「ごめん」。小さな職場で働く男女やその家族に光を当て、それぞれの口から思わず「ごめん」がもれる情景をつなぐ連作集。夫婦や親子を描く11話中、32才の吉本佑理が出入りの配送業者の里村君とおずおずとした恋を始める3話になごむ。

book

ドラマ化で話題を呼んだ「教場」シリーズ最新作

『教場X 刑事指導官・風間公親』
長岡弘樹/小学館/1650円

 犯罪が起き、犯人との知恵比べのような形で事件が解決する型を倒叙ミステリーという。白髪義眼の教官風間公親。彼のもとに送り込まれた新人達が風間のヒントで捜査の勘所を獲得していく。妻をひき殺された男の復讐、新聞社に就職が決まった大学生の焦燥、子供の科学実験が暴く被爆殺人など6話。どれもキレがよく、最終話では風間の目を義眼にしたあの男の不気味な影も……。

文/温水ゆかり

※女性セブン2021年9月23日号

関連記事

トピックス

何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト