布団に入ってぐっすり寝るのは至福の時間だが、なかなか眠りにつけなかったり、寝てもすぐ起きてしまったりと、睡眠で悩みを抱える人は少なくないだろう。ピンク・レディーの未唯mie(63才)も、「私は寝るのが下手」と話す。
「全盛期の頃は、そもそも眠る時間もないほど忙しかったので気づかなかったけれど、ピンク・レディーを1981年に解散した後、自分は寝るのが苦手だと気づいたんです。どんなに疲れていても、ぐっすり7時間寝るということができず、細切れでなんとか寝るといった感じ。起きようと思えば、何時にだって起きられます」
睡眠のために、あらゆる方法を試してきたという。体温が下がるときに入眠すると知れば、寝る前に湯船につかって体を温めた。ホットミルクを飲んだり、お酒を少し飲んだり、小難しい長編小説も読んだ。
「ヒツジも数えました。何時間もかけて1700匹以上数えたら飽きてしまって。『私は眠れないんだわ』と確信しました」(未唯mie・以下同)
日常生活に大きな支障が出なかったこともあり、55才を過ぎた頃から、「眠れなくてもいい」と、ようやく開き直ることができたそうだ。
人の眠りは深さによって段階が分かれており、現在は、約90分おきに繰り返される深い眠り「レム睡眠」と、浅い眠り「ノンレム睡眠」のサイクルを1セットで“1単位”と捉え、その単位をいくつ取れるかという独自の睡眠法を実践している。
「昨日は午前0時前まで1時間半ほど寝て、しばらく起きた後、午前2時頃から“2単位”くらい寝ました。90分を3回寝たということです。本来なら、朝4時半頃からウオーキングへ行きたいところですが、そうすると“1単位”減ってしまう。そのへんのバランスを取りながら生活しています」
朝までぐっすり眠れる人には、信じられない話だろう。しかし、こうした睡眠の「テクニック」が現代人には求められている。
「昔は、『眠れなかったから、今日のパフォーマンスに影響があるかも』と心配になったりもしたけど、いまは大丈夫だと自信を持てるようになりました。眠れない自分を受け入れてからは、ストレスを感じることもありません」
精神科医の樺沢紫苑さんも言う。
「昔から、一定して20%程度は眠れない人がいますが、スマホやゲームなど特に誘惑の多い現代は、『寝よう』と意識しなければいつまでたっても眠れない。睡眠を当たり前のものとせず、学ぼうとすることが大切です」
眠る時間や長さなど、一辺倒な常識に縛られる必要はない。ただ、睡眠の重要性に目をつむってはいけない。
※女性セブン2021年9月23日号