総選挙を目前に、与野党ともに先行き不透明な中、躍進が予想されるのが日本維新の会だ。維新の国会議員団を率いて選挙に挑む馬場伸幸・幹事長の手腕に注目が集まる。
「1993年堺市議会議員に当選し、20年間堺市議を務めた実績を元に大阪維新の会結成に参加した重鎮です。維新は現代表の松井一郎氏が大阪市長任期満了で引退の意向を表明している。圧倒的人気を誇る吉村洋文・大阪府知事がまだ若く、衆院選の結果次第では馬場氏が次期代表に就く可能性もある」(在阪政治部記者)
その馬場氏に、公設秘書をめぐる秘書給与法違反の疑いが浮上している。
馬場氏の地元・堺市のNPO法人「クリーン鳳」は、〈地域住民の理想とする社会の実現〉を目的とし、堺市から公園の管理や地域の安全見回り事業を請け負っているが、同法人が堺市に提出した名簿を確認すると、職員として馬場氏の公設第1秘書、同第2秘書の名前が並ぶ。
国から給与が支払われている公設秘書の兼業は秘書給与法で制限されている。事前に議員が所属する議院に兼業届を提出し、議長から許可を得なければならない。
「副業は報酬の有無にかかわらず、提出を求めている。NPO法人も対象です」(衆院事務局)
しかし、衆院事務局には公設秘書2人の兼業届が提出されていない。つまり、2人は衆院に無許可でこのNPO法人で兼業していたことになる。
秘書給与法に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授は指摘する。
「国会議員には監督責任があります。公設秘書の兼業を把握していなかったとは考えにくく、事実であれば、どのような事情があったかを馬場氏自身が説明すべきだ」
そもそもこのNPO法人は2006年4月の設立当初、当時堺市議だった馬場氏が理事として名を連ねており、立ち上げに深く関わっている。
ところが、馬場氏は設立からわずか3か月後に理事を辞任。その直後の9月にNPO法人が堺市から公園の管理を委託されたことから、堺市議会では「業務委託にあたり馬場氏の影響があったのではないか」といった疑問の声が上がっていた(2006年12月15日の委員会)。
そうした経緯のあるNPO法人に、今も公設秘書2人が無許可で働いているのだ。
「夏祭りなどの地域の集まりには2人もNPOの職員として参加しています。ただし、今年8月28日に開かれた別のNPO法人の総会では、NPO職員として来場しておきながら“馬場事務所の方です”と紹介を受けるなど、周りはみな彼らを馬場事務所のスタッフとして認識しています。NPO法人は実質的に馬場氏の選挙活動に関わっているのではないか」(地元のNPO関係者)