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観客を裏切り続ける松坂桃李 主演作『孤狼の血』は俳優人生の真骨頂

松坂桃李

出演作ごとにイメージを覆す松坂桃李

 8月20日より公開中の松坂桃李(32才)主演の映画『孤狼の血 LEVEL2』。封切りから最初の3日間で13万6000人を動員し、興行収入1億9300万円の好スタートを切った。SNSなどの口コミでは、「スクリーンから伝わる松坂桃李の熱量が凄まじい」、「今まで見たことのない松坂桃李から目が離せなかった」といったコメントが多く並ぶ。今作の松坂が注目を集める理由について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
 バイオレンスな描写が多いハードな世界観の作品にもかかわらず、封切り早々大きな話題を呼んでいる映画『孤狼の血 LEVEL2』。豪華キャスト陣の誰も彼もが個性的な役に扮し見ごたえ十分なのだが、その中でも注目を集めているのが鈴木亮平(38才)の怪演だ。筆者も彼の演技には戦慄した。しかし、ここではあえて、鈴木の演技を際立たせている主演の松坂の魅力について見ていきたい。鈴木の怪演は、受け手の力があってこそ成立するものだと思うからだ。

 本作は、広島の裏社会で奮闘する、若き刑事の姿を描いたもの。2018年に公開され、数々の映画賞を総ナメにした『孤狼の血』の続編で、作家・柚月裕子(53才)による小説『孤狼の血』シリーズ三部作を白石和彌監督(46才)が映画化した。前作で主演を務めた役所広司(65才)から松坂がバトンを引き継ぎ、今回では原作には描かれていないオリジナルストーリーが展開。息つく暇もない、男たちの肉体と魂のぶつかり合いが繰り広げられている。

 物語のあらすじはこうだ。一匹狼の刑事・日岡(松坂)は、3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害されたマル暴の刑事・大上の後を継ぎ、街の秩序を維持するため、警察と裏社会のタイトロープを担い続けていた。ところが、圧倒的極悪人・上林(鈴木)の登場によってそれまで保たれていた秩序は徐々に崩壊し、日岡は窮地に追い込まれていくことになる。

 日本映画界に衝撃を与えた作品 の続編とあって、今作にも鈴木を筆頭に、吉田鋼太郎(62才)、中村梅雀(65才)、寺島進(57才)、斎藤工(40才)、早乙女太一(29才)、村上虹郎(24才)ら錚々たる顔ぶれが集結している。誰もが「続編」への参戦に相応しいキャリアを誇る俳優たちだ。音尾琢真(45才)や滝藤賢一(44才)、中村獅童(49才)ら前作からの続投組の暴れっぷりも健在で、それぞれのポジションは異なれど、各々のやり方で物語をかき回している。この面々の中心に立ち、見事に作品を成功に導いているのが松坂桃李なのだ。

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