中国海警局は南シナ海での海上パトロールのため、新たに5000トン以上の超大型の哨戒艦を建造し、海南省の海南海上保安署(MSA)に配備させることが明らかになった。米軍を刺激するのは必至で、フィリピンやベトナムなど南シナ海の島嶼の領有権を主張する東南アジア諸国も警戒感を強めている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
新たに建造された哨戒艦は「海巡03号」と名付けられ、全長128.6mで、20ノット(時速37km)、約1万海里(約1万8520km)を航行し、燃料の補給なしで、60日間連続で海上をパトロールすることができるという。
また、中国海警局は東南アジアの近隣諸国をはるかに上回る300隻以上の船舶を有すると推定されているが、3000トンを超えているのはほんの一握りとされており、基準排水量5560トンの海巡03号は海南海上保安署管轄下の哨戒艦としては最大の艦船となる。
哨戒艦は領海や領土の沿岸、港湾の防衛や警備、救難活動をおもな任務とする艦艇で、中国の場合、海巡03号が所属する海南省海警局海南海上保安署は中国人民解放軍傘下の中国人民武装部隊に所属することから、海巡03号も軍艦とみなされてもおかしくない。
中国国営の中国中央テレビ局は9月中旬、海巡03号の建造完成を報じており、同号の艦内には、高度な統合監視システムを備えた海事データセンターも整備されているという。また、複数のヘリコプター格納庫も設置されており、攻撃型ヘリを搭載しているとみられる。
海巡03号は来年3月に正式に就役する予定で、「中国は南シナ海の海上哨戒艦の艦隊に新たな強力な艦船を投入することになり、海南省当局が独立して管轄権を執行するのを助けることになる」と中央テレビ局は伝えている。
海巡03号は南シナ海とその周辺海域で、海上パトロールと海洋法や中国の国内法にのっとった行政権の執行、捜索救助に加えて、緊急配備や軍事行動も伴う場合があるという。
中国は南シナ海の大部分に「歴史的権利」を主張しているが、その主張は国際社会で支持されておらず、米国政府は公式見解として「中国の主張はまったく根拠がない」と中国側の主張や南シナ海での活動について強く非難している。東南アジア諸国も島嶼の領有を主張しており、フィリピンやベトナムなどは中国との関係が悪化している。