9月8日、40代の女性が1回目と2回目で違う新型コロナワクチンを接種する「交差接種」をしていたことが、東京都の調査で判明した。
「女性は医療従事者で、3月にファイザーのワクチン接種時にアナフィラキシーショックを起こした。仕事柄、感染リスクが高いので、2回目を打ちたかったようです。かかりつけ医に相談したところアストラゼネカ製を勧められ、都庁の大規模接種会場で接種した。女性は『かかりつけ医の指示です』と告げ、接種担当の医師も深く考えずに接種した。健康状態に問題はないようです」(全国紙都政担当記者)
政府はこれまで「同製品接種」を方針として掲げてきたため、交差接種への具体的な方針を避けてきた。ワクチンの供給が不足していることから河野太郎ワクチン担当相は交差接種については「政府内で検討中」と語るにとどめている。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師は「実現にはハードルがある」と言う。
「ワクチンメーカー各社とも他社との掛け合わせのデータは乏しく、現時点では有効性も副反応の種類も不明確なので安易に容認しにくいでしょう。カナダではファイザーとモデルナの交差接種を認めていますが、ともにmRNAワクチンだからという理由で、明確な根拠はありません。
掛け合わせで、もっと高い効果が期待できるという研究もありますが、接種後の抗体の値などを見る限りでは、交差接種をあえて推奨するほどのデータはない。安全性にも不明な点があり、同製品の接種を基本とすべきでしょう」
※週刊ポスト2021年10月1日号