一部のモデルナワクチンにステンレス片とゴム片が混じっていたという異物混入問題で、新たに9月6日、自主回収となったロットを接種した49歳男性の死亡が発覚した。これまでに発覚した30代2人を含めた死者3人はいずれも基礎疾患がないことから強い不安が広がっている。
果たして異物混入ワクチンの死亡率は、通常のワクチンに比べてどうなのか。
9月10日、厚生科学審議会が発表した報告によると、8月22日までのモデルナワクチン接種者約1048万人に対し、接種後に副反応の疑いがあると報告された事例のうち死亡例は17件ある。ワクチン接種との因果関係はいずれも不明だが、100万人あたりの死亡者は1.6人だ。
対して、異物混入ワクチンは回収前に約50万回接種されており、一人がこれを2回接種した可能性はほぼないとすると、50万人が接種したと考えられる。報告された死者は3人のため、100万人あたりの死亡者は6人だ。単純計算で異物混入ロットの死亡率は4倍以上となり、この数字だけ見ると危険性が高いように思えるが、ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師は過度に不安に思う必要はないという。
「数字の誤差があるので、このデータで即危険とは言えません。ステンレスの異物で金属アレルギーのリスクはあっても死に至るまでは考えにくい。
ただし、今回の騒動の問題はワクチン接種忌避に繋がりかねないということ。異物混入への不安を解消するためにも、国はしっかりと原因究明すべきでしょう」
※週刊ポスト2021年10月1日号