ビジネス

劣勢のパナソニック リストラ進める新社長が「幸之助イズム」回帰を打ち出す訳

今年6月にパナソニック社長に就任した楠見雄規氏(右)と津賀一宏会長(時事通信フォト)

今年6月にパナソニック社長に就任した楠見雄規氏(右)と津賀一宏会長(時事通信フォト)

 パナソニックが苦しんでいる。直近の決算で過去最高益を叩き出したライバルのソニーや日立製作所に差をつけられるばかりか、10兆円の売上高目標も遠のいている。6月に社長に就任した楠見雄規社長(56)は本格的な組織改編に着手するが、名門パナソニックをどう変えようとしているのか──。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏がレポートする。

 * * *
 パナソニックが10月1日付で機構改革を行う。これまでは、白物家電等を扱う「アプライアンス社」や自動車関連事業の「オートモーティブ社」など8つの社内カンパニーで構成されていたが、10月以降は電化製品全般を取り扱う「くらし事業本部」など7つの事業に再編される。

 さらには、くらし事業本部や各社内分社に「経営役員会議」を設置、事業に関する意思決定はここで行うことになる。

 今回の機構改革は、来年4月の持ち株会社移行を睨んでのもの。4月1日付で現在のパナソニックは「パナソニックホールディングス」へと社名変更すると同時に純粋持ち株会社となり、くらし事業本部がパナソニックの名を引き継ぎ、他の社内分社とともに持ち株会社にぶら下がる形となる。

「家電のパナソニック」の名を捨てたが…

 パナソニックの最大の悩みは成長事業を生み出せていないことにある。2012年に就任し、今年退任した津賀一宏前社長(現会長)は、「家電のパナソニック」の名を捨て、BtoB(企業間の取引)企業への転身を図った。

 自動車関連事業や住宅関連事業を成長領域と位置づけ、家電事業を含め、それぞれ2兆円の売り上げを達成すると宣言。さらには創業100年を迎える2018年度の売上高目標を10兆円とした。

 しかし、その目論見通りにはいかなかった。BtoBへシフトするため、外部企業と提携するなど様々な手を打ってきたが、売り上げは思ったようには伸びていかない。結局2018年度の売上高は8兆27億円と、10兆円は夢のまた夢。しかもその後、一部事業を切り離したこともあり、津賀政権最終年度となった前3月期決算の売上高は6兆6987億円と、さらに減少した。

 しかもこの数字は、津賀氏が社長に就任する直前の2012年3月期の7兆8462億円にも届かない。利益率も低い。前3月期の営業利益率は3.8%。津賀社長は利益率5%を最低限の目標としてきたが、大きく下回っている。

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン