六代目山口組総本部が年3回発行する機関紙『山口組新報』の最新号が傘下組織に配布された。巻頭には幹部の一言が掲載されるなど山口組の最新情勢を知ることができる資料として警察関係者の間では注目されているが、幹部の旅行手記や、俳句、川柳などのコラムもあり、組員の素顔が窺える一面もある。
最新号には編集部名義のコラムとして、東京五輪の感想が掲載されている。多くの日本人金メダリスト誕生に沸いた東京五輪だったが、分裂抗争中の六代目山口組組員たちもアスリートたちの姿に興奮したようで、〈最高のパフォーマンスで演技する選手には心からエールを送った〉〈日本を代表する若者の活躍で、数々のドラマが生まれ私は感動させられた〉と熱いコメントがズラリ。
記憶に残った競技として〈宿敵アメリカや韓国を破り全勝で金メダルを勝ち取った侍達〉と、野球の侍ジャパンを筆頭に、〈金メダルをもぎ取った卓球男女ダブルスペア〉、〈同日優勝柔道兄妹〉と選手名こそあげないものの、2週間、熱心に観戦していたことが見受けられる。
そんな組員たちの胸をもっとも打ったのは水泳の池江璃花子の復活だったようだ。
〈白血病を患い、過酷な闘病生活からの復活を遂げた女子水泳選手〉として、池江の幼少期からの経歴を丁寧に掲載している。2019年2月に池江がSNSで白血病を公表し、そこから懸命の努力で競技の場に戻ったことには〈その屈強なる精神を私たち日本人は見習わなければならない〉と、敬意を示している。
池江は8月1日の女子400メートルメドレーリレーの決勝後、「一度は諦めかけた東京オリンピックだったけど、リレーメンバーとして決勝の舞台で泳ぐことができてすごく幸せだなと思った」と涙をにじませながら胸中を語った。この姿には組員たちも胸を打たれたようで〈結果はどうであれ今大会で見せた彼女の涙は決して理解出来る代物ではない。創造(原文ママ)を絶する程深いのだ〉と絶賛している。
記事の最後は3年後のパリ五輪でのメダル獲得を願って〈どうか頑張って欲しいと心から願う〉と結ばれている。
六代目山口組の組員からの熱いメッセージに当の池江は困惑するかもしれないが、パリ五輪でも強力な応援が繰り広げられることだろう。