健康状態を映し出し、「内臓の鏡」と呼ばれる肌には、大まかに菌の“派閥”が3つ存在する。肌の潤いを守る善玉菌、肌荒れを引き起こす悪玉菌、そして、どっちつかずの日和見菌だ。医療法人康梓会ワイズサイエンスクリニック広尾統括院長で『オトナ女子の「美肌」づくり百科』(ぴあ)の著者である日比野佐和子さんが説明する。
「善玉菌として代表的なのは表皮ブドウ球菌。いわゆる『美肌菌』です。保湿成分であるグリセリンに似たものを生成して潤いを守ってくれるほか、肌を理想的な弱酸性に保つ働きもあります。
悪玉菌の代表は黄色ブドウ球菌。増殖すると、かゆみや赤みなど炎症の原因になる。肌がアルカリ性に傾くと、悪玉菌が活性化します。日和見菌の代表がアクネ菌。普段は肌を守ってくれていて、悪さはしませんが、ストレスや食生活の影響で皮脂が増えると増殖してニキビの原因になります」
皮膚には、約1000種類ほどの常在菌が存在するが、単純に「美肌菌」を増やせばいいというものではない。すべての菌がバランスよく存在することが大切だという。
「最も悪玉菌が増えやすくなるのが乾燥肌。その主な原因が、洗いすぎ、ストレス、紫外線、水分不足です。マスク生活のいま、『マスクのおかげで肌がしっとりしている』と勘違いしている人がいますが、吐いた息が蒸発するとき角質層の水分も同時に奪われている。マスクを外した瞬間、一気に肌の乾燥が進みます」(日比野さん・以下同)