ワクチンを打っても、感染者数が減っても、緊急事態が解除されたとしても、一向に元の世界に戻る様子はない。私たちはいつまでコロナに怯えて閉じこもるだけの日々を送るのか。東浩紀氏(批評家・作家)、小林よしのり氏(漫画家)、三浦瑠麗氏(国際政治学者)が語り合った。(全3回の第3回)
東:感染症や公衆衛生の専門家らは第五波は下がっているが、数か月後には第六波が来るから緩めるなと言っている。永遠に自粛し続けろと。
小林:第六波は来るかもしれないし、来ないかもしれない。来なくても、今度はインフルエンザが流行るかもしれない。そうなると高齢者だけでなく、インフルエンザ脳症で子供が何十人も死んで、助かっても重い障害が残る子が何十人も出る。コロナよりよっぽど怖い。
東:インフルエンザはたしかに怖い。感染症は感染対策によって封じ込めるべしという価値観が一般化すれば、インフルエンザに対する考え方も変えなければいけなくなりますね。一冬に1000万人が感染して、1万人が死ぬんですから。冬は基本、ロックダウンになりかねない。
小林:そうなるよね。今まで気にせず生活してきたのに。
三浦:かつての日本との一番の違いは、コロナ患者に対して注がれる医療ケアの度合い。コロナの中等症だけで医療崩壊するのだから、例年のインフルエンザによる肺炎を同じ運用にしたら、確実に医療崩壊します。
東:コロナは高度医療を実現したグローバル社会に初めてやってきたパンデミックなので、リソース(資源)をかけすぎて医療崩壊した面がある。インフルで1万人死ぬのも交通事故で3000人死ぬのもしょうがないと諦めていたが、コロナで死ぬのだけは許せなかったんでしょうね。
小林:矛盾しているよね。だから、わしはインフォデミック(メディアによる情報災害)だと言っているわけですよ。だから、指定感染症からインフルエンザと同じ5類相当に落として、どこの病院・医院でも診れるようにすべきなんです。
東:5類に下げられない論にも一理はあるんだけど、なんらかの見直しは必要だと思います。医者は抵抗しているけど。
8月23日に国と都が都内の全医療機関に対して、コロナ患者の受け入れを要請したんです。これに対してネット上の医療クラスター(医療従事者の集団)が、「医療崩壊の責任を医者に押し付けるのか」「通常医療が崩壊する」と反発したんですね。
それで9月頭に数字が出て、結局、増えたのは150床だったと。なんのことはない、多くの医療機関が断わったんです。断われるのなら、別に要請くらいしてもいいはずです。強制じゃないのに、なぜそんなに反発したのか。どうも理解できないんですよ。
三浦:それなら、飲食店も要請を断わって、営業してもいいですよね。
東:そうなんです。コロナ病床の確保に対する補助金をもらって、実際は患者を受け入れなかった病院があったとも報道されている。それを指摘されたら、じゃあ返金しますって言っているらしいけど、それで許されるっておかしい。これじゃあ医療関係者の社会的地位は落ちますよ。
小林:わしの中ではとっくに落ちてる。