芸能

『総理の夫』『総理と呼ばないで』など名作家が総理大臣を描く理由とは?

中谷美紀

女性総理大臣を演じた中谷美紀

 自民党総裁選が終わり、いよいよ新総理大臣が誕生するが、映画の世界でもこれまで総理大臣は注目されてきた。公開中の『総理の夫』など、名作家によってさまざまなキャラクターの総理大臣が描かれてきた。名作家たちが総理大臣に注目するのはなぜか? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 公開中の映画『総理の夫』は、日本初の女性総理と“ファーストジェントルマン”になった夫婦の愛と奮闘の物語だ。

 大財閥の御曹司で鳥オタク、どこかぼんやりしている年下夫の相馬日和(田中圭)は、電波の届かない孤島で野鳥の調査をしている間に、愛する妻・凛子(中谷美紀)が総理大臣になっていた。美しく政治家としてのカリスマ性を持つ凛子は、国民を熱狂させ、“凛子ジェンヌ”という追っかけまで出現。凛子人気が日和にも及んで、女性集団“ひよラー”が行く先々で、キラキラうちわをフリフリして大変な騒ぎ。そんな最中に凛子が妊娠していることがわかる。

 妻が総理になったことだけでもびっくりなのに、マスコミに追われ、総理公邸に引っ越し、テロ対策のため監視され、と驚くたびに「えっ」と困惑する無精ひげの田中圭は「可愛い」と評判だ。

 考えてみると「総理大臣ファミリー」を主役にした作品には、名作が多い。古くは、1997年のドラマ『総理と呼ばないで』。ここでは意地っ張りで短気、しかも能力不足で支持率が急降下する総理大臣(田村正和)が主人公。官邸スタッフ、わがままな夫人(鈴木保奈美)、前妻との間に生まれた令嬢(佐藤藍子)とのすったもんだが描かれた。

 2015年のドラマ『民王』は、政治闘争を勝ち抜いた総理大臣武藤泰山(遠藤憲一)と気は優しいが勉学も体力もさっはりの息子翔(菅田将暉)の体が入れ替わって大騒動。わけがわからないまま、国家で演説することになった総理(翔)だが、原稿の「未曾有」を「みぞうゆう」、「直面」を「じかめん」と読む姿が放送されて、大ピンチに。三十年来、泰山を支える内閣官房長官(金田明夫)は「総理のコンタクトがずれて…」と苦しい言い訳をするが、政治評論家からは「武藤総理じゃなく無能総理」と笑われる。

 そして2019年、映画『記憶にございません!』では、中井貴一が演じる総理大臣・黒田啓介が、国民の声に耳を貸さず、国会で追い詰められると「だから、うるせいなあ、もう! 記憶にねえんだ。記憶にございませーん」と最悪な答弁をしたりする。しかし、怒った国民が投げた石が当たって卒倒。記憶を失くした黒田は、急に腰が低くなり、自分の支持率が「前代未聞の2.3%」と知って「なんでそんなに人気がないんでしょうか」とおどおどするようになる。

 興味深いのは、これらの作品が、すべて名作家によるものということだ。

関連記事

トピックス

『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン