9月29日、自民党の新総裁に岸田文雄氏(64才)が選出された。順当にいけば、10月4日の臨時国会で第100代となる新総理大臣に指名される見通しだ。
「投開票日まで、岸田文雄さんと河野太郎さんがデッドヒートを繰り広げていて、誰が総裁になるかわからない接戦でした。ここまではいわば自民党内の身内の争い。ここからは、新総理として国民の審判を受ける立場になる。多くの難題が積み上がっており、早速、新総理の手腕が問われています」(政治部記者)
喫緊の課題は新型コロナウイルス対策だが、大きな動きがありそうだ。新型コロナのまん延から約1年半、政府はウイルスの変異スピードについていけず、対応は後手後手。感染者が増えれば緊急事態宣言を発出し、延長と解除を繰り返した。国民からは、疲弊の声が上がっている。
海外のように「ロックダウン(都市封鎖)」による抑え込みの必要性も聞こえてくるなか、菅義偉総理は「日本でロックダウンはなじまない」との認識を示してきた。緊急事態宣言下においても、国民への外出自粛や飲食店への時短営業、酒類の提供禁止などを要請するにとどまった。
要請に従わない飲食店などに対する罰則を盛り込んだ特別措置法を公布したが、諸外国が実施したような「ロックダウン」にはほど遠い。岸田氏も海外型の「ロックダウン」には慎重派で、「日本型ロックダウン」を提案する。
「岸田氏は9月23日の討論会で、ワクチン接種証明などを活用した人流抑制を可能にする法整備も考えていきたいと発言しています。欧米のような徹底した規制にはならないかもしれませんが、外出禁止や営業停止などについて法改正が行われる可能性があります」(全国紙記者)
政府によれば、総人口の58%が2回目のワクチン接種を終えている(9月28日現在)。接種率の高まりを受け、感染予防と同時に、より多くの国民を通常の生活に戻すべく行動管理が徹底される。
「2回の接種を終えた人に対して、スマホと連携したワクチンパスポートの発行が実施されるでしょう。飲食店や商業施設などでは、パスポートの提示が求められる。未接種者は、PCR検査や抗原検査などの陰性証明書の提示を義務づけられる。大量の検査キットを用意し、自身の感染の有無を確認しながら行動できる日常を目指すとされています」(前出・全国紙記者)
来年には無料でいつでもどこでも検査が受けられるよう、PCR検査場が拡充されるという。新型コロナの感染初期に、口から投与できる治療薬の開発も進んでいる。早ければ年末から来年初めにも国内の医療機関で処方される可能性もある。補償にも動きがありそうだ。すでに実施されている事業者に対する助成金や補助金制度に加え、個人向け給付金の交付が検討されそうだ。さらに感染拡大で停止に追い込まれたGo To トラベルを、「Go To トラベル2.0」として再開するタイミングも見計らっている。