ライフ

「よく噛む」の誤解 強く噛んで負荷を与えても歯は丈夫にならない

歯を守る最新常識について語る北海道大学歯学部教授の菅谷勉氏

歯を守る最新常識について語る北海道大学歯学部教授の菅谷勉氏

 新型コロナウイルスの感染拡大による“受診控え”の影響は、歯周病や虫歯などの歯科治療にも及ぶ。ワクチン接種を終えて通院を再開するうえでは、歯を守る最新常識を知っておく必要がある。

「“よく噛む”ことを、“力を込めて強く噛む”と誤解している人が多い。それは完全に間違いです」

 こう指摘したのは、北海道大学歯学部教授の菅谷勉氏。正直に言えば、筆者も強く噛むことは歯に刺激を与えて丈夫にすると思っていたのだが、そうではないらしい。

「強く噛む」ことが歯を失う原因に

 永久歯の抜歯原因として、歯周病、虫歯に次ぐ第3位が「歯根破折」だ(8020推進財団調べ)。

 歯根にヒビが入ってしまうと、抜歯になるケースが多い。歯科医曰く、歯根破折はホープレス(治療しても希望が持てない)と考えられているからだ。

 歯根破折の原因の一つとして、不必要に強く噛むことが関係していると菅谷氏が指摘する。

「よく噛むというのは、回数を多く噛むという意味です。モノをかみ砕くのに、そんなに強い力はいりません。それなのに、上下の歯を接触させて、ぎゅっと力を入れてしまう人が多いですね。骨と違って負荷を与えることで歯が丈夫になることはないので、やめたほうがいい」

 菅谷氏によると、繰り返し負荷がかかると、疲労性の歯根破折が起きやすいという。

 就寝中に無意識の状態で歯を食いしばるケースも同様に、歯根破折の原因になると言われている。この場合、就寝中に「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを装着することで解決できることもある(保険適用)。

歯根破折には「抜歯」しか選択肢がない?

 菅谷氏は歯根破折を接着で治す指導者として知られる。一般的にはホープレスとされる歯根破折だが、ヒビを接着させて回復できるケースもあるという。

「歯根破折の接着療法は、歯根をいったん抜いて接着させてから戻す方法と、根管から接着剤を流し込む方法の2つがあります。

 難易度は決して高いとは思いませんが、ヒビが入っている歯を抜く時に相応のリスクがあります。接着してから10年以上も経過している患者もいる一方、1年もたない場合もあります」

 治療成績が患者によって異なることもあり、歯根破折の接着療法は保険適用になっていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン