いつどこで起きるかわからない大地震。たとえば、住宅街を歩いているときに被災したときのために知っておきたいのは、ブロック塀の倒壊の危険性だ。
1995年の阪神・淡路大震災では倒壊したブロック塀の下敷きとなり、14名が死亡。2018年の大阪府北部地震でも、ブロック塀の倒壊により、通学途中の女児1名を含む2名が命を落としている。また、首都直下地震におけるブロック塀の予想倒壊件数は、約8万件にも上るとされている(2013年12月公表の内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」より)。
「ブロック塀による被災例は多く、地震が起こるたびにブロック塀の安全性が問われています。建築基準法では、塀の高さは地盤面から2.2m以下にし、高さが1.2mを超える場合は一定の間隔で“控え壁”と呼ばれる垂直の補強壁を付けることが義務付けられています。また、塀の厚さは10cm以上(高さが2mを超える場合は15cm以上)で、塀の下部に基礎を設置して、一定間隔で鉄筋を通すなども定められています。ただし、違反しても罰則はなく、あくまで改修や点検は所有者任せ。そのため、全国には危険なブロック塀が無数に存在しています」
と、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「コンクリートブロック1個の重さは約10kg。万が一、落ちてきたブロックに当たったら、一大事です。ブロック塀のそばで被災したら、すぐにその場から離れてください」(和田さん・以下同)
危険なブロック塀を見つけたら役所に連絡
日頃から自宅の周りや、避難場所までの道のりに危険なブロック塀はないかチェックしておくことも大切だ。最近では、ブロック塀であることがわからないよう塗装してあるなど、外見だけで見分けるのは難しかったりするが、前述の建築基準法に当てはまらない塀や、明らかに傾いていたり、ヒビ割れが見られる塀には近づかないこと。可能ならばほかの道を通行しよう。
また “透かしブロック”を使用している塀にも注意が必要だ。
「建築基準法により、透かしブロックを使用する際は、縦・横・斜めに2個以上連続して使用しない、最上段・最下段・塀の端に配置しないなどのルールが定められています。これが守られていない塀は、強度不足の可能性があります」
とはいえ、正しい配置でも強度を保証するものでないので、油断してはならない。もし危険と感じるブロック塀を見つけたら、役所に連絡し、相談してみよう。
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2021年10月14日号