クルマのトレンドはSUV(Sport Utility Vehicle=スポーツ多目的)一色といっても過言ではないが、いま日本で最も売れている米国車が四輪駆動専門ブランドの「JEEP(ジープ)」だ。コロナ禍で輸入車の新車販売が落ち込む中でも右肩上がりの販売台数を堅持している。はたして人気の秘密はどこにあるのか──。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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コロナ禍によって売り上げが不調だったのは飲食店ばかりではない。輸入車の販売も、当然のように緊急事態宣言下では向かい風となった。
たとえば、2020年度の輸入車の新車販売の外国メーカー乗用車の販売は、前年比87.4%と12.6%ものマイナスとなった。2021年になって、ようやく上向いたとはいえ、1月~8月までの累計では外国メーカーの乗用車は、最悪だった2020年の117%。2019年と比べれば、まだまだマイナスとなる。
しかし、そんなコロナの逆風にも耐えて、前年比プラスを守るブランドがある。それが「ジープ」だ。2009年からほぼ毎年のように日本市場でプラス成長を続け、2020年までの11年で約13.5倍もの成長を実現している。
11年連続で前年超えの成長
ジープとは、1941年に軍用車として生まれた4WD車をルーツに持つブランドだ。現在のSUVのパイオニアとして80年を超える歴史を誇る。
日本には1980年代からホンダのディーラーで「チェロキー」が発売されていたが、その後、ホンダが販売から手を引くと徐々に販売は低迷していく。そして、2000年代に入ると年間わずか2000台レベルに落ち込み、2009年にはとうとう年間1010台までに販売を減らしてしまったのだ。
しかし、その2009年を底にジープは復活の道を歩み出す。翌2010年は1877台、2011年3154台、2012年4979台、2013年4929台、2014年6692台、2015年7132台、2016年9392台、2017年1万102台、2018年1万1438台、2019年1万3360台、2020年1万3588台──と、11年にわたって前年を超す成長を遂げてきたのだ。
これほど、着実に販売数を伸ばしてきた輸入車ブランドは他にないだろう。現在、販売上位を占めるメルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンも増減を繰り返しながら徐々に成長してきたのだ。