10月8日から女優・原田知世主演のテレビ東京系ドラマ『スナック キズツキ』(毎週金曜24時12分~)の放送が始まる。黒木華主演でドラマ化された『僕の姉ちゃん』などで知られる人気漫画家・益田ミリによる同名人気漫画が原作で、原田はどこか不思議な雰囲気をもったスナックのママ・トウコ役を演じる。脇を固めるのは成海璃子、平岩紙、塚地武雅、小関裕太、浜野謙太ら個性派揃いの俳優陣だ。
作品の舞台となるのは、“傷ついた人しかたどり着けない”という一風変わった店「スナック キズツキ」。原田演じるトウコは時には歌ったり、楽器を演奏したりしながら、訪れる客のちょっとした“傷(キズ)”を癒していく――というストーリーだ。
このドラマの重要な設定が、「スナック キズツキ」が「お酒を出さない」ということ。一般にスナックといえば“酒場”のイメージだが、同店では温かい飲み物と美味しい料理でもてなすのだという。
『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)の著書があるドラマ評論家の田幸和歌子氏は、「今の時代にピタリとマッチした作品だ」と評する。
「『スナック キズツキ』で描かれるのは、過去の大きなトラウマや、劇的な出来事による深い心の傷ではなく、日常生活の中でよくあるちょっとしたイライラやモヤモヤで、無意識のうちに誰もが傷ついたり誰かを傷つけていたりすることで心の中に積もっていく澱のようなものをさらってくれ、リセットさせてくれるもの。大きなトラウマを抱える主人公や、波乱万丈のドラマチックな人生ではなく、普通の人々の普通の日常を丁寧に描くドラマは近年では民放キー局でも増えています」
田幸氏はそうした流れを作った“元祖”がテレ東の深夜ドラマだという。
「まさにテレ東さんの“十八番”ジャンルです。『孤独のグルメ』をはじめとした飯テロドラマや、サウナの『サ道』、女子のソロキャンプの『ゆるキャン』、さらに江口のり子さん主演の『ソロ活女子のススメ』など“個のささやかな楽しみ”を描くのはお手の物ですし、『ソロ活女子~』や吉田羊さん主演の『生きるとか死ぬとか父親とか』、現在放送中の片桐はいりさん主演の『東京放置食堂』など、テレビっ子世代の40~50代女性を主演に据える流れも、テレ東が牽引しています。
さらに原作の益田ミリさんの漫画はそうした40~50代女性に非常にファンが多く、優しい世界観もコロナ禍で疲れた人々の気分にぴったり。お酒を出さないということで、お酒を飲めない人も残らず全てを受け入れるおおらかさ、寛容さがあります」
さらに、ママ役を原田知世にオファーした点が「さすがテレ東だと思った」と語る。