俳優・北村有起哉(47才)主演の連続ドラマ『ムショぼけ』(ABCテレビ・テレビ神奈川)が10月上旬にスタートする。原作小説の『ムショぼけ』(小学館文庫)の著者、沖田臥竜さん(45才)は元ヤクザ最高幹部という異色の経歴を持つ小説家。今回、ドラマにヒロインのリサ役で出演する清純派女優・武田玲奈(24才)が極道の世界に触れる“甘くて危険な対談”が実現した。(前後編の前編)
同作は、長い刑務所暮らしで、社会と隔離されていた元ヤクザの中年男性、陣内宗介が主人公。出所後に世の中の環境の変化やスピードについていけず戸惑いながらも、家族や仕事仲間、かつての極道の“同僚”たちと怒って笑って、時にヘコんで涙を流す、ヒューマンコメディーだ。タイトルは、一般的には聞き慣れない「ムショぼけ」。武田にとっても、初めて聞く言葉だったという。
武田:台本を初めて読んだとき、「ムショぼけ」ってなんぞや!?ってなりました(笑い)。読んだら「なるほど、そういうことか」と。私にとってはまったく新しい未知の世界。ムショぼけって、本当にみなさんがなるのですか?
沖田:刑務所暮らしが長いと、出所したときに浦島太郎みたいになるんです。私も(獄中生活を)長く経験したけど、出てきて最初に驚いたのはスマホやった。ムショに入る前はガラケーでメールやったから、LINEもツイッターも初めて見て驚きましたね。
武田:想像したら、ものすごく怖いです。10年以上、世の中の情報や変化から離れていたわけだから、タイムマシンで未来に連れてこられたみたいな感じなのかな。ついていけなさそう……。
沖田:一番厄介なんは、「感情が止まる」ってことでしょうね。たとえば、いまここでパクられてムショに入るとする。もしも武田さんに恋愛感情を持っていたとしたら、出所するときまで、ずーっと好きなままなんや。毎晩毎晩、同じように思い返すわけです。それで、シャバに出てきたときに、いきなり「好きや~」って会いに行くわけやから、怖いでしょ。引くでしょ。「いつの話やねん」って(苦笑)
武田:それは驚きますよね(笑い)
沖田:この感情の温度差が、本人以外の周囲からは「ボケてる」となるわけ。それがいわゆる、「ムショぼけ」なんです。恋愛だけやなく、恨みや怒りも当時のままですから。ましてや、ムショのなかは暇やから、変な妄想だけは広がるしな。
(後編は10月4日午前11時配信予定)
撮影/名和真紀子
※女性セブン2021年10月14日号