米国の人権活動団体フリーダムハウス(FH)が9月下旬に発表した今年のインターネット自由度ランキングによると、70数か国中、中国が7年連続で最下位国だったことが分かった。中国はキューバやミャンマー、イランを下回った。
アジア太平洋地域でインターネット上の自由が高いと判定されたのは日本とフィリピンだけで、日本はイギリスやカナダなどとともに自由度が最も高い7カ国に選出されている。
FHのランキングの説明によると、インターネット上の自由度で不自由判定を受けた国には、中国やシリア、エチオピア、イラン、ウズベキスタンといった一党独裁体制などの強権的な政治体制を敷いている国が多い。
特に、中国の場合、「ここ数年、ユーザーデータの保護について責任を果たしていないなどを理由に、中国国内のメガテック企業を厳しく弾圧し、権力をさらに集中している。中国当局はメガテックを国有企業に作り変えようとしている」と指摘されている。
そのうえで、中国のネット規制は中国共産党と党政府当局者に対する批判、外交問題、天安門事件、台湾に加え、ウイグル族やチベット族などの少数民族問題やキリスト教を含む宗教問題にまで多岐にわたっているとした。
特に今年は軍人や英雄、烈士を侮辱するようなコメントをネット上で発表した場合、刑事罰を科すという法律を施行するなど、依然、ネット規制を強めている。
このほか、中国では昨年から今年にかけて、政府関連アカウントで、新型コロナウイルスの起源に関して、「フェイク情報」が拡散されていると非難している。
このため、自由度ランキングを判定した識者らの1人で、FHの上級研究分析官のエリー・ファンク氏はオンライン記者会見で、「データプライバシーの観点からして、今年は非常に興味深い年だ。とくに、中国の場合、しばらくの間、ますます自由度が悪化することになるだろう」と述べている。